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遅くなってしまって申し訳ありません。
この場にクロードが居ないことを思うと少し残念ですね。一緒に来て、ルエンがしているように一緒にお酒でも飲めればいいのですが。とはいえ今まで一緒に飲んでも先に私が酔ってしまっていつもクロードに介抱されてそのまま寝てしまいます。
私お酒にはめっぽう弱いのですよね。前世からですからもし来世があるとした、来世もお酒に弱いのでしょうね。
現在ローゼン様はお昼寝をしておられます。天気もいいですし眠くなってしまったのでしょう。ティア様が「地面に寝てしまっては汚れてしまうわ」と仰って膝枕をしておられるのですが一緒にティア様もウトウトし始めていて、寝てしまいそうですね。
木の隙間をぬって木漏れ日が差し込みがティア様を包み込む風景は、それだけで一枚の絵のようです。
帰りの時間になるまでティア様とローゼン様は眠っておられました。先に起きたのはローゼン様で、まだ眠いのか目を擦って居ましたがティア様の膝の上で寝ていると分かったのか飛び起きてしまわれて。危うくティア様とぶつかってしまう所でしたがなんとか回避なされたようでした。
ティア様もローゼン様が起きたのに気づかれたようで直ぐに目を覚ましていました。
館に帰ってからは夕餉までの間時間があるということで少しだけローゼン様に勉強を教えることになりました。
勉強道具がある訳では無いので紙に問題を書いて解いてもらうだけなのですが。
「できました!」
「早いですね、見てみましょう」
足し算引き算は既にマスターしていると見て良さそうですね。文字も綺麗に書けています。
ティア様もこのお歳の頃は同じように足し算引き算をマスターし、掛け算割り算辺りに入った頃でしょうか。
掛け算割り算が何処までやれるか見てみましょう。
「ではこちらの問題もやってみてください」
少し解く速さが遅くなりましたね。解き方がわからないという訳では無く、計算がこれであっているのか自信がないと言った感じでしょうか。
「終わりました」
先ほどより十分程遅く終わりました。問題は三十問あったのですが正解は半分の十五問。不正解の中でも十問は小さなミスで、この歳でこれだけで来ていれば十分ではないでしょうか。
「いい出来だと思いますよ。ミスも小さなものですしここの計算は……」
「レティア先生の教え方わかりやすい!」
「もったいないお言葉です」
実際に教えたのはティア様やクレン、レミリアだけですから。少しだけ慣れているだけですし、一流の教師と比べるとまだまだと言ったところだと思います。
間違った問題を一つ一つ片付けながら夕餉が出来上がる頃には簡単な割り算掛け算であればあまりミスをしない程までに成長していました。
「リーア、スタンビートの件どうなりましたか?」
「ああ、警備を増強することになった。気休め程度ではあるがな」
「実際に戦闘になった時どうなるか分かりますか?」
「分からんとしか。どの程度の規模かも分からないからな。ただ軽くはない被害が出ると見て良いだろう。近衛の数としてもそう多くはないからな。館に籠城しての戦いになるとは思うが」
「そうですか。もしもの時は私が結界を貼ります。魔力供給は私がしますが長くは保ちません」
「そうか、結果か。長くは持たなくともどうにかするすべがあるだけマシな方だろう。もしもの時は」
「はい。そのもしもが無ければいいのですけどね」
「伝令!伝令!特赤です!」
「何があった!」
深夜、場所は変わり、王城の近衛騎士団長室では突然の伝令と事の重大さに緊張が走っていた。
伝令は基本的に急ぎ知らせるべき要件である場合以外は使用されないため、それだけでも緊張が走るしかし今回は特赤という伝令の中では一番重要であり緊急の要件であるという知らせである。
伝令には青、橙、赤、特赤の四種類があり青は危険はないが緊急性がある。橙はある程度危険で緊急の要件である。赤は危険と判断され緊急の要件である。特赤は他国が攻め込んできた時やスタンビートなど災害級の問題が起こった場合などに出される。
そして今回はスタンビートだった。
「アルバンチュルス領でスタンビートの発生を確認!都市シュターデンに向けて進行する群れを撃退。群れは進路をリュラレンス領へ向けて取っているとの事です」
「リュラレンス領だと!?」
直ぐレオンは地図を広げ進路上を確認するとそこには国王陛下御家族がいるアナテンデットがあった。
「進路上にはルエン国王がおられるのだぞ!急ぎ軍をシュターデンとリュラレンス領に送らなければ!近衛騎士がいるとはいえ数が少なすぎる!直ぐ騎士団に出撃を要請しろ!後間に合わぬかもしれないが早馬をアナテンデットに出すんだ!」
群れの進行スピードにもよるが早馬が到着するかはギリギリであった。
軍は直ちに編隊を組みリュラレンス領へ向かった。近衛騎士団長のレオンを隊長とし、特殊措置として騎士団が近衛騎士団長の指示下に入った。それと時を同じくして屋敷に居たクロードに軍が編隊を組みリュラレンス領に向かおうとしていると情報が入る。
これは王城にいたレオンからもたらされた情報だった。これを聞いたクロードは直ぐに準備をするように執事に言い自らの部屋に置いてある鎧と剣を携え馬に乗った。
レティアの元に急ぐために
誤字脱字はしての方からお願いします。誤字脱字の機能が有効になってなかったので有効にしました。
そして新作「異世界ラジオ放送局」を上げているので良かったらこちらもよろしくお願いします。
次回からは恐らく戦闘が入ります血生臭くはなりませんので、その辺はご安心を




