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 ユリアの命が残り少ないとわかった日から一週間程すると、ユリアの容態は安定してきました。それでも激しく動くことは出来ませんでしたが、回復してくれたことに私達は安堵しました。


 それからは余程のことがない限りいつもユリアはティア王女と一緒にいました。ほぼ毎日ユリアの元に通っていた私は、ティア王女を抱かせてもらったり遊び相手になったりもしました。

そして三年が経つ頃からだんだんとユリアは体調を崩すようになりました。ルエンや私、レオンを含めた周囲はもう時間は少なくないのだと気づきました。


 そしてティア王女が四歳になり一月が経ちました。

 おそらくユリアはこの時既に知っていたのでしょう。自分の命が残りわずがだということを。その日はいつも通りの日でした。


「レティア、ティアのことよろしくね?」


「急にどうしたのですか、わかっています。私に任せてください」


「うん、お願い約束ね?」


「約束します。ユリアの子供は私が教えて私以上に賢くして見せますから」


「それは頼もしいわ」


「そろそろ寝てください。体に障りますから」


「わかったわ、おやすみ」


「おやすみなさい、ユリア」


 そしてユリアと約束をした次の日、その日は来ました。


 私が公爵家で勉強を教えていると急いだ様子でレオンが来て。


「レティア……ユリアが……」


 たったそれだけの言葉。しかし私はその場で立ち尽くしました。その言葉の意味することを悟ったから。昨日まであんなに元気だったのにどうしてと、何度も考えました。


 立ち尽くした私の手を引いてレオンは馬車で王城に向かいました。


 ユリアの部屋には既にルエンやユリアの両親、前国王夫妻がいました。ベッドの上にいるユリアはまだ寝ているだけのようにも見えました。


 すぐに国中に王妃の死去が響き渡り、二日後には葬式が執り行われ国中貴族が集まりました。


 王家の墓所にユリアが埋葬され一週間の喪服期間が設けられました。


 喪服期間が終わりほぼほぼいつも通りの光景が城下に広がる中王女の今後について話し合いが城内で行われました。


 集められたのは国王であるルエンや王城筆頭侍女、近衛騎士団長そして私でした。


 何故要人が集まるこの場に私がいるのかと言うとユリアが生前に言っていた「ティアのことをよろしくね」と言っていたのが理由だそうで、私からすれば願ってもないことですが。


「さて、ティアの今後についてだけれども、少し早いが王女宮の準備をしてほしい。筆頭侍女には王女専属侍女頭を選んでほしい」


「了解致しました。国王様」


「近衛騎士団長にはティアを守護する者達を選抜してほしい。」


「では、女性騎士を中心に選抜いたします」


「それから王女宮内の他の人員に関しては王女専属侍女頭に決めされてくれ。決めた人員は王女専属近衛騎士に追って伝えるように」


『了解致しました。国王様』


「2人は下がってくれ」


『失礼致します』


 恒例であれば5歳から王女宮の準備をするのですが、今回はことがことですので今の段階から王女宮の準備をするのでしょう。しかし私は何のために呼ばれたのでしょうか?


「さてレティアを呼んだのはやって欲しいことがあるんだ」


「頼みたいことですか?」


「ああ、王女宮の準備が出来てティアが王女宮に移ったら教育係と家庭教師を頼みたい」


「家庭教師は分かりますが教育係ですか?」


「ティアはレティアによく懐いているからね。家庭教師の前にやって欲しいんだ。それと家庭教師の件だけどマナーなども教えて欲しいんだ」


「ひと通り教えることは出来ますが流石に王族のマナーは教えれませんのでほかの方にお願いしても良いでしょうか」


「わかった。専門的なマナーの講師はこちらで用意するよよ。ティアのこと頼んだ」


「元よりユリア様と約束していますのでお任せ下さい」


 ティア様が王女宮に移ったのはそれから1週間後のことでした。


 王女宮には私を含め約六十人程がいるようで、


 王女専属侍女頭様を含め侍女が二十一名


 王女専属近衛騎士長を含め二十六名


 王女専属名料理長含め十名


 王女宮にある庭園の管理をする庭師が五名


 後はここに私が加わります。


 王女宮に務めるものは王女宮内にある使用人専用の場所に住むことになるそうで昨日から私も荷物を移していました。


 それぞれ侍女頭、近衛騎士長には個室が与えられています。そして私にも個室が与えられていて私にはもったいない気もしますが、これだけ場所などにも配慮して頂いたので頑張らねばなりません。


 そして今日は王女宮に務める人達の顔合わせです。顔合わせと言ってもそれぞれの代表者だけでの顔合わせになりますが、これから同じ場所で働く方たちがいい人だといいのですが。

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