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「クレン、お久しぶりですわ」
「シャロン久しぶり。今日はエスコート出来なくてごめん」
「大丈夫ですわ。クレン様の事情は分かっておりますもの。それからレティア様お久しぶりです」
クレンに声をかけてきたのは、レオンの娘のシャロンさまでした。そして、クレンのエスコートと言う発言から察するにシャロン様がクレンの婚約者なのでしょうか。
「お久しぶりですシャロン嬢。弟のクレンと知り合いだとは知りませんでした」
「クレン様とは婚約者なのですが知らなかったのですか?」
「ええ、最近領地に帰っていなかったものですから。しかしクレンの婚約者がシャロン様だとは思いませんでした」
「お爺様がクレン様のお母様とお知り合いで紹介してもらったんですの」
「シャロン様のお爺様と言うと前近衛騎士団長のゼェシェファン様ですよね。元騎士のお母様との接点が分からないのですが」
「それはね、姉様。お母様どうやら前王妃様の近衛騎士をしていたようなんです」
「前王妃様の近衛騎士ですか?それはエチア様の近衛騎士ということでいいのですか?」
「はい、そうみたいです」
まさかお母様が前王妃様の近衛騎士だとは思いませんでした。エチア様はルエンのお母様で現在は宮廷でお過ごしになっています。しかしお母様が前王妃様の近衛騎士だとすると、お父様も何かしらの要職に着いていたのでしょうか。これは後で聞いてみる必要がありますね。
「事情は飲み込めました。お二人共ご婚約おめでとうございます。シャロン嬢はどなたとこられたのですか?」
「お父様と一緒に来ました」
「レオンと一緒に来たのですか。久しぶりに話をしたいところですが…」
会場を見回して見るとレオンは相変わらず女性に囲まれて居ました。どうやら結婚してから色香が増したようで以前より女性の数が増えています。
「無理そうですね」
「後でお母様に言いつけないといけませんわね」
「レオンはエルジェナに弱いのですか?」
「はい、お父様はお母様に何かあると怒られているんですの」
どうやらレオンはエルジェナの尻に敷かれているようですね。
「レティア様、お手紙です」
「ありがとうございます」
給仕が手紙を待ってきました。差出人はティア様でした。中身を読むと、どうやら王女宮のパーティにクレンとレミリア、それからシャロンを連れてきて欲しいという物でした。シャロン様には挨拶の時に話をしているそうです。ちなみにこの手紙は二人に見せてもいいようです。
「二人ともパーティの後には何も予定はありませんよね?」
「はいそのまま帰る予定です」
「それなら良かったです。二人を連れて行く所があります。詳しくはこの手紙を呼んでください」
二人は渡した手紙を読み少し驚いた様子でしたが内容は理解出来たようです。
「姉様この手紙は」
「本当のことですよ。この後パーティが終わり次第王女宮に向かいます。シャロン嬢もご一緒で良いでしょうか?」
「勿論ですわ」
パーティが終わるまで壁際で話をしていた私達はパーティが終わると同時に王女宮に向かいました。王女宮の前には何故かレオンが立って警備をしていました。
「レオンどうしてここに」
「どうしてって警備に決まっているだろう」
「警備は王城に警備兵に頼むと聞いていましたが、近衛騎士団長のあなたが居るとは思わなかったのです」
「いや、本当は警備兵を寄越すだったんだがルエンが近衛騎士団から何人か出すと言い出してな俺にも話が回ってきたんだ」
「ルエンがですか。仕方ないといえば仕方ないですか。ルエンはティア様のことを大事にしていますからね」
「そうだな。中に入って良いぞ、来ることは聞いているからな。それからシャロン、ティア様に失礼の無いようにな」
「わかっていますわ、お父様。それからお父様先程のことを後でお母様に伝えますわ」
「ま、待て!シャロン。あれはだなその…」
「言い訳はお母様の前でするといいですわ。それではお父様お仕事頑張ってください」
「シャロン頼むエルジェナには黙っててくれ!」
「せいぜい後悔するといいですわ。レティア様行きましょう」
シャロン様に促されるまま王女宮の中に入っていきます。私が先頭に立ってパーティー会場まで歩いていきます。
「さあ、ここです。中に入りましょう」
扉を開けて中に入ると王城のパーティーと遜色ないほどの飾りがなされていました。
「レティアきたのね!それにシャロンとクレンさんレミリアさんもようこそ」
中に入るとティア様が出迎えてくださいました。ティア様の横にはアーサー様が居てさらにその後ろにはクロード様が居ました。ティア様はクレン達を連れて早速お話をするようです。クロード様はアーサー様の傍をはなれてこちらへ向かってきました。
「レティア嬢、お会い出来で嬉しいです」
「クロード様に会えるとは思いませんでした。私もお会いできて嬉しいです」
「今日はドレスなのですね」
「はい、今日はパーティーに出ていましたのでドレスなのです。クロード様から頂いたネックレスも身につけています」
「それはとても嬉しいです。私もレティア嬢から頂いたカフスボタンを今日は付けているのです。アーサー様がつけた方がいいと仰られまして」
「そうなのですか。使っていただいているようで良かったです」
「レティア嬢、一曲ダンスを踊ってくださいませんか?」
「ダンスですか?」
クロード様の見ている方向を見るとアーサー様とティア様が庭園の方で踊っていました。よく聞くと舞踏会の音楽が王城から聞こえてきています。庭園まで出ると部屋の中に居るよりハッキリと音楽がきこえてきます。
「レティア様、一曲踊ってくださいますか?」
「はい、クロード様」
クロード様の手に自分の手を乗せるとドキドキと鼓動が早くなりました。舞踏会の音楽に合わせステップを踏みクロード様とダンスをするうちに鼓動はさらに早くなります。そしていつもよりクロード様を意識していまいす。これが好きという感情なのでしょうか。自分の顔がどうなっているかはわかりませんがきっと赤くなっているのでしょう。好きと言う感情を意識してからはあまりクロード様の顔を見れなくなってしまいました。あの話をするならば今でしょうか。わたしは決意をして、クロード様に話を切り出しました。
「クロード様、お話が…あります」
「何でしょうか、レティア様」
クロード様の声が近くで聞こえてドキドキが止まりません。
「その、結婚の事なのですが…」
「はい」
「私でよければ…よろしくお願いします」
「レティア嬢」
「はい、何ですか。んっ…」
ちょうどダンスが終わり、立ち止まると同時に柔らかい感触が唇を塞ぎました。何が起こっているのか理解できません。と言うより頭がフリーズしたみたいに考えることができません。これは…クロード様にキスされているのでしょうか。何とかキスされていることを理解して、理解した途端、体の力が抜けクロード様にもたれかかってしまいました。
「レティア嬢、愛しています。私の妻になってくださいますか?」
クロード様が耳元で囁きます。もう頭は考えることをやめてしまったようで、頭の中ではクロード様の声が反響しています。
「はい…クロード様。よろしくお願いします」
クロード様に抱きしめられ、私はクロード様に体を預けます。とてもとても幸せです。周りからは拍手が聴こえてきます。ティア様や王女宮の皆がクレンやレミリア、シャロン様がリーアやセレスティーナが『おめでとう』とお祝いしてくれています。拝見ここには居ない大切な人たちへ、私は今とても幸せです。
やっとです。ここまで長かったです。やっとレティアとクロードがくっついた。なんかいい感じに終わっていますけど終わりじゃないですよ?まだまだ続きます。次話は結婚式か次の日のお話です。まだ色々書きたいことはあるけれどそれは活動報告の方に書こうと思います。気になる方は見ていただけると嬉しいです。
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