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プロローグ
黒田高校に無事入学を果たした俺は千歳広野【ちとせこうや】。
ギリギリ志望校に入れた平凡な男子高校生になったわけだ。
教室に入ると創立から20~30年は立っているのだろう。
目新しくない教室に机がならぶ。
机も見たところ新品ではなくだいぶガタがきているお古だ。
担任の男性教諭から高校生活の説明が入る。
義務教育じゃないから節度を持てとか、ちゃんと学習しろだとかだ。
こんな内容は義務教育の時もまったく同じことを聞かされた。
義務なんだからしっかり勉強しろだと言っていたのを思い出す。
勉強はそこそこにやって就活を重点に置いた方がいいだろう。
大学は家の近くにないから就職をして日々の金を稼いでほそぼそ暮らしたいんだ。
新学期の初日だということもあり午前で学校は終わる。
足早に俺は校門から出ようとしたところ目の前に生徒がいる。
「君はみこみがある!どうだ水泳部に入部しないかい!?」
「は?」
目の前の女性が俺に声をかける。
この時興味ないとすぐ帰宅していればと今でもここが人生の分岐点だったんだと思う