五話
デパートの屋上。そこから眺める街並みは、普段の街並みとは違って見える。街並みを見ている人がいればの話だが。
「すごいです!」
「あはは!」
神様ちゃんと楓は、遊園地とかにある乗り物、コーヒーカップに乗っていた。如翔は退屈そうにベンチに腰掛けていた。
三人が来たデパートの屋上には、メリーゴーランドや観覧車、ジェットコースターまで設置されている。遊園地にあるものよりも小さいものの、買い物ついでに人が集まるくらいには魅力的な遊具だ。
「お前さん、乗らないのか?」
「ゴンドラ三つの観覧車には乗らん。メリーゴーランドにも乗らん。僕は卒業したんだ」
「ジェットコースターも? 如はつまらないねえ」
「そもそも僕は、ジェットコースターは眼中にない」
「もしかして怖いの?」
「冗談はよせ。僕がジェットコースターを怖がっているだなんて、楓は本気で思ってるのかよ?」
「思ってるねえ。だって如、滑り台すら苦戦していたじゃない。何にでも時間が掛かる如のことだ、ジェットコースターを克服なんてしてないんじゃないかと思ってねえ」
「克服って……まるで僕が苦手みたいじゃないか」
「得意なの? じゃあ乗ってみせてよ」
「乗るです」
如翔に向けられる視線。真っ直ぐに向けられる視線を直視することが堪えられなかった如翔は、ベンチからジェットコースターへと歩く。
ガタガタと音を立てて動きだすジェットコースター。ゆっくり上昇していき停止する。そして再び動きだした。一気に降下すると、ジェットコースターはレールを一回りして停止した。
「大丈夫?」
「……こんな子供騙し……に……」
「お前さん!?」
そのまま如翔は気絶した。
※ ※ ※
「う……ん」
「お! 気が付いたようだねえ」
「楓? ……!?」
後頭部に感じる柔らかい感触と自分の顔を覗く楓から、置かれている状況を把握した如翔は、バッと上半身を起こした。
「そんなに驚かなくても。私は只、気絶した如に膝枕をしていただけだよ」
「それが問題なんじゃないか」
「顔が赤いけど大丈夫?」
「気のせいだ。膝枕、助かった」
「どういたしまして。如」
平然としている楓と、顔を赤らめている如翔。
そんな対照的な二人を観覧車の中から、神様ちゃんは見ていた。景色のついでに。
「まどろっこしいです。自分達が原因だということに気付いてです」




