十四話
神様ちゃんからの突然の告白に、如翔も楓も目を見開いていた。耳を疑って仕方がない。
当の神様ちゃんは、ニコニコと笑みを絶やさない。これまでには見せなかった表情を。
「パパだと!?」
「ママってどういう意味だい!?」
「言葉のままです。私のパパとママ、二人は私の親なんです」
「な、何で言い切れる!?」
「未来の二人を知っているからです」
「どういうことなの? 神様ちゃん」
「実は私……神様じゃないですよ。普通の人間です。この時代には、私が願って来たです。パパとママの過去を知りたかったです」
「何でまた? 僕達の小学生の姿でも拝みに来たのか?」
「お前さん……パパはやっぱり鋭いです。そです、二人の小学生の姿を見たかったのです」
「どうして?」
「私、なかなか学校に馴染めなくて……。パパとママはどうしてたのかなって思ったです」
「でも何でこの時代なんだ?」
「よく分からないです。けど、お陰でパパとママを助けることが出来たみたいで嬉しいです」
「テレパシーとかってどうやって?」
「私の頭に流れてきたです……二人の想いが。未来の二人を知っている私だから、出来たのかもです」
「神様ちゃん。その身体はどうしたの?」
「この時代に居られる時間が尽きかけているです。二人と……小学生のパパとママと会えるのも……もう最後です」
「神様ちゃん!」
「ママ?」
触れられないと分かっているが、それでも手を伸ばして近付いて。楓の目には涙が溢れていた。
「神様ちゃんが、未来の私と如の子だと知れて嬉しいよ! 初めて会ったときから、不思議と只の他人だとは思えなかったっ!」
「ママ……楓ちゃん!」
わんわんと、人目も憚らず泣く二人。
如翔はそんな二人を抱き寄せた。言葉を思いつけなかった故の行動だったが、充分に如翔の想いは届いていたのだった。
※ ※ ※
夕暮れ。良い子は家に帰る頃。
神様ちゃんもまた、その時を迎えていた。
「今日は楽しかったです! 二人共、ありがとうです」
「元気でな。そっちの僕達にもよろしくな」
「それは難しいねえ。過去の私達に会ってきただなんて、なかなか信じられないから」
「ま、それもそうだな」
消えていく神様ちゃんの身体。
殆ど見えなくなった自分の姿に、神様ちゃんは寂しさを感じる。自分の知っている両親とは違うけど、やっぱり同じな二人との別れ。
「じゃあ、行くです」
「神様ちゃん!」
「駄目ですよ。まだ会っちゃ駄目なんです、私達は。だから楓ちゃん、もう少し待つです。本当の、二人の子供としての私との出会いを」
「参ったねえ。未来の自分の子供から注意されてしまった」
「貴重な経験じゃねえか?」
「パパ。楓ちゃんを……ママを頼んだですよ」
「安心しな。ちゃんと守ってやる」
「はいです!」
若かりし父親と、未来の子供と約束を交わす。
不思議な約束。またとない経験。
端から見れば兄妹な、時を越えた奇跡の出会い。
端から見れば姉妹な、時を越えた奇跡の出会い。
「バイバイです!」
未来の子供との不思議な別れ。
如翔と楓か心のどこかに、親心のようなものが芽生えたのだった。




