十三話
昼下がり。神様ちゃんに会うべく神社に来ていた如翔と楓だったが、神様ちゃんの姿が見当たらないでいた。
「どこ行ったんだかな」
「如とのことを報告しようと思ったのに」
「訊いてみるか」
神社を掃除していた神主に神様ちゃんの居場所を訊く如翔。楓も説明をする。
しかし、神主は首を傾げ固まってしまう。暫くして吐かれた言葉に二人は、固まってしまった。
「そんな娘は知らないよ。誰と勘違いしているのかな?」
「「え!?」」
※ ※ ※
「お腹が空いたです」
レストランの外から、中を覗き見る神様ちゃん。
そんな子供の姿を誰も気にする素振りはない。
神様ちゃんは諦め、トボトボと道を歩いていく。通り過ぎていく誰も、神様ちゃんには気付いていない。
「私のお願いは叶ったです。もう時間です」
神様ちゃんの身体の透明度が加速していた。
掌だけでなく、足や腹部も透き通っている。自分の身体から透けて見える景色に神様ちゃんは、苦笑いを浮かべた。
「あはは、です」
※ ※ ※
「ったく! 肝心な時に!」
「レストランにも……デパートの屋上にも居ない! 神様ちゃんの行きそうな所っ……ほかは!?」
「僕はないぞ。神様ってやつは風来坊かよ」
「困ったねえ……困ったよ」
息を切らす二人。神様ちゃんが行きそうな場所を駆け回ったものの、神様ちゃんとは会えずにいた。
二人がこれだけ必死なのには理由がある。
二人の想いが通じ合って直ぐ、意識が途切れ途切れになるようになった。そう、現在へと戻る兆候が表れていたのだ。
「なんだかんだ世話になったからな。一言添えないと収まらない」
「お礼を言いたいねえ。仲良くなったのにお別れは辛いけどさあ」
「「うっ!?」」
また意識が途切れる。冷や汗をかく二人。
あれだけ帰りたがっていた筈なのに、いつの間にか名残惜しくなっていた。
現在よりも若い家族……現在には無い公園やデパート。失って気付いた時間の大切さ。
「戻ったら、母さんも三十五だ。ガラケーもスマホだし、ランドセルも公園も無い。元に戻るだけだ」
「だけどなんだろうねえ。戻るだけなのに、なんだかとても寂しいんだよねえ」
座り込んでいた二人に陰が掛かる。その陰は直ぐに消えてしまう。
ふと、空を見上げた如翔の視界に人が現れた。光が点滅するかのように、如翔と楓の前で。
「こんにちは、ですか」
「お前!」
「神様ちゃん!」
神様ちゃんに触れようとする楓の手は、神様ちゃんの身体をすり抜けていく。驚く楓。
「もう時間なんです。お別れです」
「どうしちゃったの!?」
「二人の悔いは無くなったみたいですね。私の願いも叶いました」
「神様ちゃんの願い?」
「そです」
「何なんだよ? その願いって」
「そですね……もう、言ってもいいですね」
呼吸を整える神様ちゃん。
先程までとは違う神様ちゃんの目付きに二人は、思わず身構えてしまう。
神様ちゃんは笑顔を見せた。これまで見せたことのない笑顔を。とびっきりの笑顔を。
「会えて良かったです。パパ、ママ!」




