十二話
少し落ち着いた頃を見て、楓の横に座る如翔。
如翔の顔を見ようとしない為、楓の表情を見れない如翔だが、そのまま話し掛ける。
「昨日といい今日といい、どうした?」
「何でもない」
「なくないだろう。僕を騙し通せると思ってるのか?」
「騙してない」
「僕を見ようとしない。僕、何かしたか?」
「してない」
明らかにいつもと違う楓にヤキモキした如翔は、楓の左肩に手を置く。掛ける言葉は思い付かなかったものの、どうにかしたいとの思いからの行動だった。
ビクッとする楓。小刻みに身体を震わせ、ゆっくりと如翔の方へ体重を掛ける。
「ばか」
「楓……お前……」
如翔の足に背中を預けた楓の目には涙があった。如翔と目が合った楓は堪らず、如翔の胸へと顔を押し付けた。
「……ごめん……ごめんっ」
「何で謝るんだ」
楓に押し倒される形でベッドに横たわる如翔。
心臓がドキッと高鳴るのを自覚しつつ、静かに楓の頭を撫でる。
「……私……気付いちゃった」
「ん?」
楓は顔を上げる。如翔としっかり目が合う。
それは如翔も同じだ。互いに目が合い、その目に吸い込まれそうになる。互いの顔が近付いていく。
「私……如が……好き」
「奇遇だな。僕も楓が好きだ。お互いに好きあってたなんて……」
言葉を遮られる。柔らかい唇に。
如翔は動けずにいた。楓が動きを封じている。
時間にして一分。二人は唇を重ねていた。楓が離れていく。楓の顔は真っ赤に染まっていた。
※ ※ ※
「おや?」
神社を掃除していた神様ちゃんの身体に異変が起きる。掌から地面が透けて見えた。
「そろそろですか」
神様ちゃんの表情から、寂しさを感じ取れた。




