表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミステイク  作者: 碧衣玄
1/18

一話

 気持ちのいい風と朝日。枕元の目覚まし時計が耳に、不規則に揺れるカーテンが目に、朝を知らせてくる。

 ベッドに預けていた身体を起こして伸びをする。

 鳴り響く目覚まし時計を止め、今日の日付を確認する為、壁に掛かったカレンダーを見る。


「あれ?」


 寝惚けているのかと顔を叩く。目を凝らしてカレンダーを見る。しかし、すぐ現実に引き戻される。

 目覚まし時計の隣に置いてあるケータイで確認しようとするが、ケータイに伸ばされた手は戸惑った。


「え!?」


 堪らず立ち上がってしまう。そこでまた、現実へと引き戻された。

 昨日までとは違う目線、身体の感覚。よく見れば、着ている寝間着も違っていた。


「どうなってるんだ?」


 戸惑っていると、扉をノックする音がする。返事をすると、エプロンを着けた女性が入ってきた。


「珍しく一人で起きたのね?」


「母さん?」


「そのクエスチョンは何? 母さん、何か変なの?」


「うん。若返ってる。それにカレンダーも。何で替えたんだよ、カレンダー」


「失礼ね。母さんは三十歳よ。まだまだ若いんだけど。カレンダーは替えてないよ」


「三十? 三十五だろう? 五歳もサバ読んでんじゃないよ」


「三十です! この間、三十になりました!」


「わざわざ五年前のカレンダーにすり替えて、部屋の模様も変えて、僕のスマホをガラケーに戻して。そこまでして三十と言い張るか!」


「あんた、大丈夫? 言ってることが支離滅裂よ。カレンダーにしても、部屋の模様もケータイも昨日と同じじゃないの。頭でも打った?」


 母親の反応に困惑した少年は、一階にある洗面所へと駆けていく。鏡に映る自分の姿を見た少年は呆然とした。昨日までとは違う姿。完全に目が覚めた瞬間でもあった。


※ ※ ※


「あの時のままだ」


 隣の家の玄関前で立ち尽くす。家の表札を見て確信し、呼鈴を鳴らす。ボタンを押した指は震えている。


【はーい?】


如翔なおとです」


【ちょっとまってねー】


 如翔は深呼吸する。頬を叩いてシャンとした。

 エプロン姿の女性がやって来る。当たり前のように招き入れられた如翔は、震える足で階段を上がっていく。扉の前で立ち止まる。再び深呼吸をすると、震える拳で扉をノックした。


※ ※ ※


「如。これってどういうことかね?」


「僕だって解らない。朝起きたら、五年前だったなんて信じられない」


「う~ん」


 如翔の前で、少女は眉をひそめて考える。

 如翔も腕を組んで考える。しかし、さっぱり分からない。


「五年前ねえ。私が引っ越したのも五年前だったねえ」


「何か関係ありそうか?」


「まっさかー」


 考えても考えても分からない。時間だけが過ぎていく。二人に心当たりはなかった。


「こういう時はあれだねえ」


「何だ?」


「神頼み。困った時の神頼みだねえ」


「僕、信仰心なんかないよ」


「神社に行くだけだって。さあ、行こう」


「元気だな、かえで。こんなときだってのに」


「こんなときだからねえ。少しでもポジティブでいないと、どうにかなっちゃいそうだし。如と会えたのも理由ではあるけどねえ」


「僕と? 引っ越し以来、こうして直接会えたことはなかったけど、そんなに嬉しいのか?」


「嬉しいとは違うかねえ。どちらかといえば、安心したと言うべきかねえ」


「それなら僕もだけど。僕以外にも同じ状況の人間が居たんだから。そういう意味では安心してる」


「よーし。神社にレッツゴー!」


 楓がテキパキと身支度を済ます。

 如翔は、黙って付いていくことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ