ストーブとぼく
いつか、甥っ子のために手作り絵本にできたらいいなと思って書いたお話です。短いので気楽に読んでくださいね。
もうすぐ春だというのに、今日はこおるようにさむい。
男の子はひとりでおるすばん。ほんの少しの、短い時間。だけどさみしいおるすばん。
テレビもおもちゃもない部屋で、男の子はストーブと向き合っていました。
すきま風がつめたくて、ついついストーブに話しかけてみました。
「ストーブくん、もっとあたたかくならないかい?」
『スブン!ストブンブルン!』
そういって、ストーブはどうにもならないよ、とこたえました。
男の子は、ちょっとびっくり。
もう一度話しかけてみる。
「ちょっとだけ、炎を大きくしてよ。」
『ブッスン!スットンブルン!』
無茶を言うなよ、とこたえるストーブ。
こいつはおもしろい。
もっと言ってやれ!
「ぼくのために、ばくはつしてみせて。」
『ブスブス!ブッスントラブルン!』
そんなことしたら、おおやけどしちゃうぞ!
と、本気で怒るストーブ。
ケラケラと笑う男の子。
すっかりストーブがお気に入り。
もっともっとお話したいな。
えっと、次は、次はね。
「じゃあ、こんどは火を消してみせて。」
『スットンブルル・・・ブルルルル・・・』
しゅわわわわ。
するとみるみる炎はちいさくなり、青くゆらめくと、ふっ、と本当に消えてしまいました。
さっきまであんなに笑っていた男の子は・・・
うえええん。
とうとう泣き出してしまったのでした。
そこに・・・
「ただいま。どうしたんだい?」
おじいさんが帰ってきました。
男の子は泣きながら、ストーブが消えてしまったことをお話しました。
「ああ、ストーブの燃料がなくなってしまったんだね。すぐに足して火を灯そう。」
おじいさんが、ポンプを、しゅっぽしゅっぽ。しゅっぽしゅっぽ。
「さあ、ストーブはお腹がいっぱいだぞ。」
マッチで火をつけると・・・
ストーブにまた炎が戻りました!
『ブボッ!ストブルン!ブルブルブルン!』
やあっ!久しぶりだねっ!なんだい?泣いていたのかい?
ってごあいさつ。
「泣いてなんかないやい!」
って、男の子もごきげん。
「・・・消えて、なんて言ってごめんね。」
『ブルン!ストブルン!』
何言ってんだい。ちょっと休憩さ。
・・・ストーブとぼくは、すっかりお友達だね。
さっきよりも、すこしだけあたたかくなった部屋で、ぽつりぽつりとストーブに話しかける男の子を、おじいさんは、わらいながらもふしぎそうにながめているのでした。
読んでくださってありがとうございます。作者のまみまみ.ntです。いかがでしたでしょうか?ストーブであったかになっていただけましたでしょうか?外はまだまだ寒い時期、みなさまご自愛くださいませ。