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7話

12月7日

松田千秋大佐が扶桑艦長離任と同時に扶桑は連合艦隊旗艦の任を解かれ、山本五十六海軍相兼副首相の要請により連合艦隊司令部は海軍省へ出向。

一方で満州ではチチハルが全面陥落し、長春市は多くの住民が避難を終えていた。

一方で、八洲国内では海軍兵学校の3、4年生及び1927年創立の海軍女子兵学校の7期生と8期生の卒業繰り上げを実施。就役直前の戦艦武蔵や信濃、更には空母や各航空隊の不足人員を補う配備を開始。


12月8日

史実日本だと長門艦長である矢野英雄大佐が大和艦長に就任。長門の艦長は比叡艦長西田正雄大佐が一時的に兼任する事に。

(ただ所属艦隊が異なるので事実上の指揮権は副長が保持)

満州では黄鴨江に九九式艦爆に95式水偵の水上フロートを取り付けた九九式水上爆撃機による臨時水上爆撃部隊が編制され、ソ連軍の満州から朝鮮半島への侵攻に備えていた。

一方で陸軍は六菱茨木工場でスペイン経由で入手したドイツ軍の次期主力戦車、Ⅳ号戦車を参考にした百式中戦車の正式化を決定。更に九七式中戦車(我らのチハたん)にも改良が施される事が決定したのである。

その改修とはチハ戦車に海軍の12.7cm砲45口径砲の装備と車体装甲の増厚に伴う砲塔の廃止により対戦車自走砲への改修であったが、相変わらず装備名称はチハのままであった。

(正式にはチハ乙型)


12月9日

営口の満州ハインケルで新型エンジン、すなわち燃焼噴射機関(ジェットエンジン)の試作品がドイツに遅れる事、半年経過しての完成。要求の8割を達成した同エンジンはフ1号と名付けられ、設計中の震電の改良型への搭載が決定。更なる改良も決定しており、震電12型の量産開始までに改良も終了するのは確実であった。

(震電は既に試作機が完成済み)


12月10日

海軍省

この日、第3航空戦隊の参謀長である椰子川(やしかわ)諒也大佐は山本に自らのプランを説明すべく海軍省を訪れていた。

椰子川は山本の部屋に入るとすぐに敬礼し、彼は山本に対して今回の被害状況を記した資料を渡すと山本大臣は「ご苦労だった。君のプランとは何か気になるな」と呟くと松田は「はっ、昨日、黄鴨江で運用が始まった部隊を満州でも結成し、満州を流れる長大な黒龍江(アムール川)を用いて水上航空機を離発着させ、押し寄せるソ連機甲師団を追い払えないかと言う計画を考えつきましたが、いかがでしょうか?」と続くと山本は「面白いが、今季は無理だろうな」と言うと椰子川もそれに頷くも、山本はすぐに椰子川のプランにゴーサインを出したのである。


12月11日

重巡洋艦加古、新潟の矢村重工造船所へ入渠。改良計画の為に新たな艦首部分が設計され、3月までにそれが結合出来るように準備を開始。

後部20.3㎝砲の撤去と高角砲の長8への換装、40㎜機関砲の装備などを開始。

(このころ、既に新鋭の大和や、改修で戦艦長門や霧島や重巡利根、空母蒼龍などの一部艦艇には40mm機関砲の連装型が、初霜及び時雨は単装型が搭載され始めており、25㎜機銃と高角砲の射程ギャップを補えるようになってきた)


12月12日

古鷹の呉海軍工廠への入渠と青葉、衣笠への40㎜機関砲と長8の搭載が実施。

帝国海運の橿原丸級貨客船の橿原丸と出雲丸の空母への改修が決定。

空母鳳翔の連合艦隊旗艦への改修が完了。一方、龍驤は潜水母艦へ改修され、水上機搭載能力やソナー、補給艦としての役割の果たす能力の追加がなされた。

この日の内に南雲忠一以下連合艦隊司令部は鳳翔に将旗を掲げる。


数日後・仁川沖合い

対ソ戦の最前線の1つとなった朝鮮半島各所では12月15日以降から八洲本土から満州へ向かう航空機や物資を運搬する各種船舶が集結していた。

無論、港湾設備が充実した仁川も例外ではなく最新鋭の水上攻撃機"瑞雲"に"晴嵐"、更には野砲や陸軍航空機を分解して搭載した八洲海運の大型貨物船"八洲丸"などが入港していた。


とは言え、再び青島にドイツ海軍が駐留するようになってからは船団に対する脅威が日に日に増しており、帝国海軍は軽巡洋艦1隻と駆逐艦何隻かを護衛に付けてもしもの事態に備えた。


因みにドイツの目論みは八ソ衝突でソ連が兵力を割いた場合、欧州の戦力が下がると言う事であり、総統はそれを念頭に置いて独ソ中立条約や八独中立条約を締結。もしも八洲が満州で破れたとしても満州へ侵攻して欧州と極東。両方から袋叩きにするために青島にも駐留していたのである。


閑話休題。

半島南部に戦力を集め終えると皇国はすぐに半島内の戦力を満州の首都、長春や大都市瀋陽の防衛に費やすべく平壌及び元山防衛師団以外の全ての北部駐留部隊を黄鴨江周辺に集中させたのである…………


そして極寒の地で激戦で皇国陸軍は3月までに23万の戦死者が発生した。


明けて4月。

雪が溶け始めた長春。

皇国の反撃の第一陣として旅順で陸揚げされた百式中戦車を上空を上空に数機の下駄履きの翼が力強いエンジン音を轟かし現れたのである。

「あれが海軍の河川航空艦隊なのか?」

空を見上げたある百式中戦車の車長である少佐がそう言うと「車長!あの飛行機には日の丸がついています我が八洲のものです!」と装填手が言うとすぐに通信士が「瀋陽の司令部より入電!"1230より陸海軍混成航空隊による航空攻撃を実施する"との事です!」と言うと車長は「ついてるな……………」と続く。

するとさっきの通り過ぎた航空機とから『こちら海軍第245航空隊。これより敵機甲師団に対する攻撃を開始する』と無線が入り戦車大隊長である少佐は「了解」と続き、それを見て射撃手が「負けてられないですね」と続く。

すると「行くぞ!野郎ども。戦車前進(Panzer vor)!」と少佐の階級章を着けた戦車長がそう言うと百式中戦車は多数の敵が蠢く前方へ進んでいく。


激闘の満州。地獄の窯は開かれようとしていた。


1942年4月5日

ベルリンでは…………

地下司令部の一室

煙草を吸う髭の生えた初老の偉そうなおっさん、アドルフ・ヒトラーに対して中将の階級章を持つ白髪混じりのこれまた偉そうな男が「総統閣下(マイン・フューラー)。青島の極東海軍コマンド、東京及びモスクワの大使からの連絡では極東での八洲及びソ連の戦闘は現在、ややソ連が優勢です。ですが八洲軍の巻き返し作戦が開始され、今後はどちらが優勢に傾くかは不明瞭です」と言うとトレードマークは髭の総統が「それ以外はどうなのか、クレープス君?」と聞くとクレープスは「全て順調です。総統誕生日(今月の27日)にはソ連への侵攻が可能となります」と続くと総統は万円の笑みで「それなら良いぞ」と続き、灰皿に置いていた煙草を再び吹かしたのである。


それはともあれ、強気に見えるヒトラーの内心は非常に憂鬱であった。それは未だにドイツ国内の生産・補修設備が貧弱であるのに起因していたのである。


とは言え、英国を占領したことで英国製のレーダーや砲身、そして航空機を多数入手し、それらを用いた外人部隊でソ連に攻め入る事を画策していた。


だが英国の抵抗運動者(レジスタンス)は非常に激しく抵抗し、自由英国軍も敗北を認めず、スコットランドで籠城を続けていた。

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