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5話

1941年12月5日18:30

連合艦隊旗艦高雄艦橋

「空川機より入電!"敵艦隊は本艦隊の有効射程内にあり"との事です!」

通信士がそう言うと艦長の山宮大佐は「よし。これよりレーダー及び測距儀、航空観測による統制射撃を実施する」と続くとそれに対して南雲は静かに頷き、航空機隊も扶桑、山城の様子を察したのか敵艦隊の見易い位置へと向かっていた。


20秒後、距離25km

扶桑の船体に装備された20cm連装砲5基10門が一時的に船体を包み込む様な勢いで火を噴き、続いて那智や利根、それに青葉が続いて砲撃を開始する。


とは言え、敵はこれらの重巡の射程外でなおかつ射程内だとしても命中弾を与えられないので射弾修整の為に行っていた。


とは言え、はやくこの砲戦を終結させねば水上機の航続時間が限界を迎え、更に日の入りを迎えてしまうのではある。だがそれに備えて南雲は戦艦や重巡と同等の新型無線誘導装置を装備する水上機母艦千代田を護衛の軽巡鬼怒及び駆逐艦若葉及び有明、曙に、最近、ネームシップの初霜と並んでソナーを更新した時雨と共に後方待機させ、夜間の水上機容収に備えていた。


閑話休題。

高雄の射撃はソ連艦隊の前方を押さえる様に着弾するとソ連艦隊はすぐさま面舵を命じ、右へ舵を取り一時的な退避、いや八洲艦隊への偽装運動に移る。


とは言え、扶桑の射撃の正確さは刻一刻と増しており、第7斉射で重巡ケルチを撃沈には至らなかったが、上部構造物を破壊し、撃破。続いて山城がカリーニンに直撃弾を続けざまに浴びせ、主砲弾薬庫で九一式徹甲弾が炸裂し。これを撃沈した。

とは言えソ連艦隊もただでやられている訳では無く、魚雷艇母艦から先程の戦闘に不参加だった魚雷艇を出撃させ、八洲艦隊に対して一矢報いようとしていた。


上空・三田機

「ん!?川見………あれは魚雷艇ではないか!」と三田大尉が言うと川見2等軍曹は愛用の双眼鏡でちゃんとした確認をとり、それを扶桑へ無線で伝える。更に川見は信号銃に"敵艦高速で接近中"を意味する緑色の信号弾を装填し、すぐにそれを上空へ放つ。


数秒後、高雄艦橋

「魚雷艇か…………取り敢えず加古と子の日、磯波、それに夕凪を迎撃に向かわせろ」と南雲司令が言うと山宮艦長は「高角砲及び同射撃統制班にすぐに射撃準備命令をだせ!」と命じる。


しばらくして加古は3隻の駆逐艦と共に艦隊を離脱し、艦隊に迫る魚雷艇の方向へ向かう。


加古艦橋

『電探室より艦橋。魚雷艇複数を感知した!』

電探員がそう言うと艦長の曽屋竹男大佐は「了解した。主砲及び高角砲、対水上戦闘用意!」と命じる。すると加古の主砲の砲身は仰角をそれぞれ違う角度に調整し、高角砲はほぼ水平の状況で射撃に備えていた。

「扶桑索敵3号より入電。"我、敵速度を上げつつある事を確認す"との事です!」

通信士がそう言うと曽屋艦長は「艦橋より各主砲塔、九八式対空弾装填、撃ち方用意!」と言うと航海長の東海林(しょうじ)了少佐を始め、多くの乗員が(このタイミングで九八式弾とは艦長は何を考えている?)と自問自答をしていた。


だがその真意が理解出来たのはその数秒後である。


そう、配備が始まったばかりの信管に赤外線検出機を持つ三式弾と異なり未だに多くの艦艇で装備される九八式弾は時限式信管であり、タイミングさえ調整出来ていれば上空、水上、水中でそれぞれ炸裂させて、その爆風や水柱、弾子で壁を形成し、軽装甲目標を破壊すると言う芸当が可能だったのである。


故に魚雷艇を防ぐにはもってこいであったのだが…………

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