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3話

1941年12月3日1700

米国ワシントンDC

「ソ連の満洲への侵攻、八洲海での衝突………スターリンの奴、私の提案をうまく飲んでくれたみたいだな………これで2年以内に八洲の軍事力は下がり、占領出来るな………」アメリカ第39代大統領フランクリン・D(デラノ)・ルーズベルトはそう不敵な笑みを浮かべると海軍元帥へ内定したH(ハズバンド)・キンメル大将は「はい。しかしヤップとソビエトの海軍戦力ではヤップのほうに理がある上に、地上戦については近いうちにヒトラーが対独戦を検討している様子なのでスターリンも戦力が上手く割けないと嘆いておりました」と続くとルーズベルトは「だからソ連海軍に対して多数の戦艦サウスダコタ級を建造して提供するのだよ。まぁ、それに我々の旧式巡洋艦であるオマハ級をスターリンにプレゼントすればその乗員や予算はアトランタ級(新型の防空巡洋艦)にも回せるしな………」と続くと汗を掻きながらもキンメルは頷き、大統領はコーヒーを口に含む。

キンメルが退出するとそこには同期で、同じくホワイトハウスに用があって来ていた兵学校(アナポリス)同期の親友で、大の八洲嫌いとして知られるウィリアム・ハルゼーが来ていたので2人は一緒に退館して、ワシントン市内のレストランで食事をとると、翌日、同じ飛行場でキンメルはハワイに向かうB-17に、ハルゼーはサンフランシスコに向かうB-24にそれぞれ乗り込み任地へ向かったのである。しかし満州情勢はともかく、八洲海では佐渡島の占領に伴う八洲皇国の屈服というルーズベルトの予想には物事は進まなかったのである。


12月5日0600、八洲海・佐渡島北西300km

鳳翔から前線に赴くこととなった連合艦隊司令部のある旗艦巡洋艦高雄を中心とした艦隊と佐渡島要塞に駐屯する那智を中心とした艦隊は規定の時刻より前に合流し、艦隊付属の空母から偵察機を飛ばすなど、この海域に来るであろうソ連艦隊との戦闘に備えていた。

高雄艦橋

「佐渡島要塞所属の彩雲から入電!!ソ連艦隊は予定通り佐渡島北西500㎞の海域を佐渡島へ向かって航行してきています」伝令へがそう言うと南雲は「うむ。予定通りだな」と呟き「利根から紫雲を上げてくれ。彩雲と陸さんの百式偵察機と協力してソ連艦隊の追尾を続ける!!」と命じると伝令はすぐに「了解!!」と続く。

命令が下ってからすぐに偵察のために利根から紫雲偵察機、扶桑からは零式水上偵察機、そして瑞鳳からは97式艦上攻撃機が飛び立ち、虚空の彼方へと消えていったのである。


因みに連合艦隊のプランではソ連首脳部は満州へ攻撃を仕掛けた直後に佐渡島を占領することで大八洲皇国を屈服させられると考えているだろうと考え、これを迎え撃つ作戦案として連合艦隊司令部は旗艦扶桑と山城を自ら餌として佐渡島へ向かう敵を釣り上げ、更にその2隻の火力と重巡洋艦3隻の砲雷撃と軽巡1隻、駆逐艦7隻による雷撃で護衛を、二航戦及び先日まで朝鮮半島羅津に駐留いていた四航戦と佐渡島駐屯の陸攻隊による航空攻撃で揚陸艦隊を撃滅する算段である。


当然のごとくソ連艦隊も八洲艦隊を偵察すべく米国からレンドリースされたB-17による航空偵察や潜水艦による偵察で八洲艦隊の位置を探り、出来るだけ敵と遭遇しにくいコースを選び、より確実に佐渡島の占領が出来る計画を練っていた。


とは言え佐渡島には水上・航空警戒用のレーダーが設置されている上、皇国陸海軍佐渡島要塞の司令である栗林忠道少将の奇策もあって、金北山を中心に地下には住民用の防空壕を含む巨大な地下通路が掘られていた。


更に敵にとってやっかいなのは地上に設置された戦艦伊勢、日向に搭載されていた5、6番砲塔を転用した36cm連装砲であり、これらの砲は不安定な洋上とは異なり、安定した陸上から射撃出来るので艦砲射撃を試みようとした戦艦を返り討ちに出来るのである。

そして上陸したとしても毒ガス攻撃に備えて換気能力に優れた地下通路を用いた奇襲を始めとした持久戦も可能であった。


閑話休題。

連合艦隊もソ連艦隊の移動を既に捉えており、戦艦扶桑以下の艦隊はソ連艦隊の向かっている方角へと進路を変更するが、ソ連艦隊はそれを知らずに依然として前進を続けていた。


そして18:00。遂に丁字と言う形で八洲及びソ連の両艦隊が合間見あったのである。更に天は八洲に大きく味方しており36年前の八洲海海戦の東郷平八郎率いる八洲皇国艦隊以上にロシア(ソ連)艦隊に対して優勢な状況となっていた。


だがソ連艦隊もスターリン書記長の頼みに答えたルーズベルト米大統領の好意で入手したレーダーで八洲艦隊の位置をつかみ、転舵を始めようとしていた。


だが高雄は重巡洋艦とはいえ、十分な実力と練度を持つのに対してマラート級は既に準弩級戦艦なのに加え、ロシア革命もあって練度が低下していた。


故に帝国海軍の勝利は確実と思われているが、油断が破滅を導くのを南雲は忘れていなかった。

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