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10話

1942年5月27日、新首都・名古屋

この日を境にこの名古屋に八洲皇国のありとあらゆる政府機関がここへ避難するために内陸部で大規模な開発が開始されていた。


例えば帝国グループの帝国航空機の工場がある名古屋飛行場は帝都飛行場(※1)となり、臨時首都名古屋の玄関口となったが帝国航空機からすれば新型旅客機の帝国航空や全八洲航空などの航空会社から発注された連山を流用した1号大型輸送機(※2)などを完成日にいきなり旅客便に使用出来るなど経済面で役に立ったのであった。


閑話休題。皇国本国で新首都建設が進む一方、満州では一進一退の攻防が続いていたのである。


満州の大地では多数の戦車が撃ち合いを繰り広げ、上空では多数の戦闘機が空中戦を繰り広げ、大地を血に染めていた。


瑞雲偵察爆撃機がT-34に目掛けて急降下するとソ連の高射砲兵が機銃を撃ちまくり撃たれた瑞雲はやがて火を噴いて地面に激突する。

だが、ほかの瑞雲がその高射砲兵がいた場所に機銃掃射を加えると砲兵たちをミンチへと変える。だがその瑞雲もYak-1戦闘機に追われ、やがて火を噴き、空中分解してその残骸が地面へと落下していく。


「おい山田、お前の後ろに敵が迫っているぞ!!」

そう俺、川辺中尉が言うと彼は自分の零戦を山田上飛曹の零戦の後ろに向かおうとしていたF6Fに機首に装備された7.7㎜機銃で銃撃を加える。


効かない。流石は無駄に頑丈(グラマン鉄工所)と呼ばれる米国製の機体だ。どんどん蚊トンボの様に火達磨になるソ連製のアレ(ヤコブレフ)とは違う。


(この野郎!!…………どうだ、落ちろ!!)

俺はそう心中で呟くと主翼に装備された20㎜機銃の発射ボタンを押す。

確かに長砲身20㎜機銃から敵機に放たれた銃弾は吸い込まれていったが、一向に敵機の主翼から火が噴く気配は無い。

(なんて頑丈さだ………)

俺はそう思いつつも敵機に狙いを定める。

しばらくして俺が発射ボタンを押すと今度は7.7㎜及び20㎜機銃弾が偶然にも敵機の主翼の同じ個所、それも内翼部の中央部に命中する。すると敵機の主翼に格納してあった主脚のタイヤが破裂し、主翼の表面の一部が吹き飛んだのである。


そして吹き飛んだ部分から高速で飛んでいた敵機の主翼は分解を始め、あっと言う間に空中分解したのである。


とは言えそうこうしている内に俺の機体も敵高射機銃射撃で被弾し、エンジンの出力が低下、すぐに俺は不時着を決意してなんとか不時着に成功したのである。


が、低下し続けるエンジンの出力の問題から運悪くソ連高射砲兵の近くに降りてしまった事もあり、出来る限り捕まらないように俺はすぐに機体から走って茂みに隠れたのである


とは言え次の瞬間であった。1機の流星艦上攻撃機が超低空で接近してくると俺の零戦とそれに迫っていたソ連兵に対して同機が装備していた主翼に装備されたそれぞれ2門の20㎜及び12.7㎜機銃が火を噴き、残っていた燃料に引火し、ソ連兵をミンチへと変えたのである。


助かった。俺はそう思ったが、別のソ連兵がこちらに向かってくるのを確認すると絶望したのである、とにかく走って逃げよう。俺はそう思うと味方航空機が飛来する方向へと走る。味方、おそらく陸軍所属と思しき航空機は走る俺に気が付いたのかバンクをすると敵に果敢に機銃掃射を浴びせる。


その機体はどうみても烈風であったが明らかに海軍とは違う緑色で、主翼のフラップに瑞雲の主翼にあるフラップのような穴がったのを見てそれが陸海軍共通の3式戦闘爆撃機”海風(かいふう)”と呼ばれる機体であるのに気が付いた。


だが、その機体の援護もあって俺は何とか逃げおおせたのである。


一方、この年にソ連の中央部でも大地震が発生。ソ連が対独戦に備えて建設していた工場の一部が破損し、現在の対八戦に投入している戦闘機、戦車の製造も滞り始めていたのである。


とは言え千島島(実際の世界と違い千島列島は1つの島となっている)での我が国との戦闘で勝利し、着々と根室までの橋頭保を築き始めていたのである。

※1 1965年までは帝都空港と名乗っていた

なお1965年に首都の再建開始事業に対する不満解消のために新築開始。68年に再開した時は新名古屋空港に改名された

※2 1号型大型輸送機

帝国海軍のために開発された連山を流用した輸送機及び旅客機で、東京からパラオまで飛行可能な当時としては長大な航続距離を誇る。なお名古屋から満洲への便などに主に使われ、欧州戦争後の欧州航空会社からも多数発注された事で大八洲が伊豆大震災や八ソ戦争の被害から早期に復興に一役買ったことになった。

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