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紅の目Ⅱ  作者: 紅い華
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第五章 決意

起きたら工藤君がいなかった。朝起きたらいないことはよくあった。指令が変わってから、私が寝ているあいだに工藤君にミッションがアサインされていることはよくあった。指令の無茶ぶりに振り回されていると本人は笑っていたけど。私は今日起きたときに、とても嫌な予感がした。もう彼が帰ってこないのじゃないかって。

「緊急招集。現在本艦の中にいるメンバーは司令室に集合して下さい。繰り返します。緊急招集。現在本艦の中にいるメンバーは司令室に集合して下さい。」

緊急招集放送。何があったのかはわからないけどとりあえず私は司令室に向かった。ドアの前に手紙が来ていた。死亡報告書。ここではよくあることだったから誰が死んだかとか気にもしなかった。

「急に集まってもらって大変申し訳ない。」

まったく悪びれてない声と顔で指令はいった。工藤君は狸って呼んでたけど私にはただの太ったおっさんにしか見えない。私がそういったら、工藤君は笑いながら、ただのおっさんかよ。っていった。

「まずは一つ。激戦地区の一つが昨日鎮圧完了した。そして、同時刻を持って、工藤龍皇大尉が殉職された。よってこの場で一分間の黙祷を捧げたい。全員。黙祷!」

周りは黙祷を始めた。私は指令の言葉を聞いた瞬間体が固まっていた。

工藤君が・・・・・死んだ?

その言葉だけが私の中を駆け巡っていた。

同室だったし、仲が良かったからつらいだろうという配慮から、私は今日休みになった。

「嘘でしょ・・・・・・・・・そんな・・・・そんな・・・・・」

私は部屋に戻ったと同時に泣き出していた。何で泣くのか分からない。こんなのよくあることで、私は今までに何度もミッション中に死んでいった仲間達を見てきた。最初こそ悲しかったけれど、回数を重ねる内に慣れていった。けれども私は泣いた。慣れているはずなのに。ただ一緒にいた人が死んだだけ。そう思おうとしたけど無理だった。半身が欠け落ちたような感覚があった。何でこんなに悲しいのかが分からない。考えようとしたけど、思考が働かなかった。私はそのまま寝てしまったらしい。起きたら朝だった

日付も変わっていた。とりあえず起きて顔を洗った。そういえば龍皇君の私物どうしようとか考えながら

捨てる気にはなれなかった。部屋に残っている龍皇君の私物は、今のところ処分される予定ではないけどいつかは処分されることになるだろう。と言っても彼の私物は少なく。彼の服と、前の部隊にいた頃から彼が使っていた携帯音楽プレイヤーぐらいだった。任務に行くときはだいたい持っていたのだが。今は少し調子が悪いらしく、修理に出していたのが彼が死んだ後帰ってきたのだった。私はイヤホンを耳に当て、音楽を聴いていた。いくつか連絡が来たみたいだけど、とことん無視した。今日はずっとこうしていたかった。ノックの音がしたのでドアを開けたら、司令が立っていた。

「ちょっといいかね?」

あんまり人と話したい気分ではなかったのだが、断るわけにも行かなかった。

「・・・・・・どうぞ」

部屋に入るなり司令は椅子にどかっと腰掛けた。前に龍皇君が私のためにと買ってくれた椅子だった。少し、イラッときた。けど何を言う事もなく。私はその反対側に腰掛けた。

「突然だが、私の専属秘書になる気はないかい?」

「はい?」

「そのままの意味だ。君も仲間を失ってつらいだろうしな。それに可愛いお嬢さんを戦場に送り出すのは私としても辛いんだよ。」

「下心満載の台詞ですね」

「まさか」

司令は笑っていたが、私は笑う気にはなれなかった

疑問をぶつけることにした。思っていることはいくつかあったから。

「司令。いくつか質問があります。」

「言ってみたまえ。」

「行方不明者の捜索期間が短い気がするのですが、なぜですか?」

「工藤君のヘリは、バラバラに破壊され、破片しか残っていなかった。さらにその近くの海から彼の上着が発見された。死亡確定とみていいという上からの判断だ。」

答えは予想していた物の、やはりショックだった。

彼の死を再認識させられたからだ。秘書の事は遠まわしに断った。君の気が変わるのを待っているよ。

と司令は言っていたものの、私は彼の仇を打つことを心に決めていたので、気が変わることは無いだろうな、と思っただけだった。


私は今日、心に決めた。


彼の、仇をうつと。

久々の投稿です。書くペースあげていかないとなぁ

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