第四章 計略
あたりは爆音と悲鳴で阿鼻叫喚の渦となっていた。逃げ惑う人やそれを追いかけるネバー、ネバーに喰われながら助けてと泣き叫ぶ人々。文字通りの地獄絵図だった。
「ま、こんなことだろーと思ったけどよぉ、まさかここまでとはな。」
ヘリから降りてきたときに真っ先に聞こえてきたのは悲鳴、目に入るのはほとんど燃え尽きて街としての機能をしていない街や逃げ惑う人々。
「ったく、冗談じゃねえなあおい!!」
一閃。目の前の敵を切り裂き振り返りざまに向かってきた2体を斬りつける。
「浅いか!!」
一体は沈黙したがもう一体は傷口を再生し、こちらに向かってくる。再び一閃。切り裂く。
今度は捕らえた。完全に沈黙。ここで乱入者の存在に気づいたのか周りのネバーがいっせいにこちらに向かってきた。
「は、熱烈歓迎こりゃどうもってな!!」
そんなくだらない冗談を言いながら俺は群れの中に飛び込み正面の敵を斬りまくる。周りはネバーだらけなので振り回せば当たる状態だ。
「周囲の目標を殲滅完了。これより大型の殲滅に入る。」
目の前には大型2体が見える。こちらには興味がないのかそれとも気づいていないのか、完全にこちらに背を向けている。
「ま、大型でも2体程度ならどうにでもなるか。」
ビルの上に登り大型を観察する。俺がいることを知って知らずか2体は完全にこっちを無視ししている。
「無視されてるっつーのもあんまいい気分じゃねえなぁ。ま、気づかれてねえっつーのはいいことだがな」
どうやら2体は別行動をしているようで完全にバラバラに動いている。こいつらが意思疎通ができるかどうかは別として、だ。
「さーて、行きますか!!」
ビルの上から大型の上に着地。こちらに気づき振り落とそうとするが背中に剣を刺し体を固定。そのまま駆け下りるように背中から右足までを切り裂く。そのまま右足を切り裂きバランスを崩させ転倒させる。
「黒剣・黒風刃!!」
漆黒の刃を飛ばしズタズタに切り裂く。斬戟を飛ばす技のアレンジ番みたいなものだ。
「一頭沈黙。続いてもう一頭の殲滅に入る」
「了解。敵対象はそれで最後だ。そいつを倒し次第、帰還せよ」
つまりあれが最後の一頭ってわけだ。ならあいつを倒せば任務完了ってわけだ。
「そうと決まればさっさと倒しますか。」
疾走。一瞬で巨大ネバーの足下まで潜り込み両足を斬り飛ばす。そして離脱。つぶされる前に逃げて再度接近。ズタズタに切り裂きトドメを刺す。
「任務完了。これより帰投する。」
「了解。ヘリを待機させた場所に戻り、ヘリで帰還してくれ。」
「了解。」
ヘリで帰還しろってことは俺に操縦しろと言うことか。まあいつも通りの無茶ぶりですわ。
「お、ヘリみっけ。これに乗って帰れって事か。じゃあ動かしますかね」
このヘリだけ喰われてないのが不思議だがまあどうでもいい俺はヘリを動かす。
バラララララララララララというプロペラの音と共にヘリが起動する。高度が上がっていく。俺は帰還するためにヘヴンホープを目指す確か今は太平洋のどっかの上空のはずだ。
太平洋に出て、目標高度に上がろうとする。そこに突如鳴り響く警告音。
「!?やべえ!落ちる!!」
異常なまでに高度が下がり機体内部のエンジンの温度が異常なほどの高温になっていた。
「チッ!!こんままだと爆発だ!!どうにかしねえと!!」
突如ノイズが通信機から出る。
「やあ、工藤君。空の旅は快適かね?」
指令からだった。この瞬間に快適かとか聞くか普通。
「ざっけんな!!こちとら落ちそうなんだよ!!ふざけてんじゃねえ!!」
「私が仕込んだプログラムが正常に作動してくれてるようで何よりだよ。」
「なんだとテメエ・・・・・・ 今なんつった!!」
「その墜落は私が仕組んだことだ。このことは私しか知らんがね。」
「テメエ・・・・・・・はめやがったな!!」
「はははははは。私の野望のためには君が邪魔なのでね。死んでもらうよ。」
「クソったれがあ!!」
その日海上で小規模の爆発が起こった。
任務報告書
特定地区におけるネバー殲滅終了。再発生の兆しは無し。
尚、ネバーに侵攻された地区は廃棄が決定。
尚、任務に就いていた工藤龍皇大尉は帰還途中正体不明の攻撃により行方不明。
捜索の結果、死体は無かったものの時間経過から生存率は0%と断定。
以上の結果から工藤龍皇大尉を戦死と断定。同日、捜索の打ち切りが決定。
工藤龍皇。最終階級は大尉
本情報は隊員全員に通達する物とする。
今日この日に、工藤龍皇は正式に死亡として扱われることになった。
相当な期間放置していた気がしますね。
これからはちょっと頑張って書いていこうと思います。
しかし書きながら思うことは自分が書いてると戦闘メインなのに戦闘が短かったりしますね。自分なりに頑張ってはいるつもりなのですが。
まあ次回は戦闘回じゃないので書きやすくなるかな。
では次の話で