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旅立ち

魔王城を飛び出し降り立ったのは城から程近い草原。

周りには誰もいない所を選んで移動したのだ。


「会いに行くとは言ったものの場所は分からんしなぁ、まぁ人間の街に行けばどうにでもなるか」


空間移動術式……あぁ言いにくい!《ワープ》でいいわ!

ワープを使えば街まですぐに行けるが別に急ぎではない。

さいわい俺の見た目は人間と変わらない。街についても問題ないだろう。


俺が寝ていた間の世界も観て行きたいし、ゆっくり歩いていこう。

景色を楽しみながら街へと向かう。

魔物もちらほら見かけるようになったが襲い掛かってこない。

何者か分かってはいないようだが、本能で危険と感じ避けている。


勇者さんとの約束もすでに破られているのだからもう国境越えてもいいだろう。


「はあぁああぁ~!」


暢気に歩いて行くと誰かが魔物に戦っている。

皮製の軽量防具、その手には赤?茶?あぁ銅剣か、

典型的な冒険者だ。

種族は人間みたいだな。


人間も国境を越えて来るようになったのかぁ。

しかもこんな奥まで。

そう、魔王城周辺は領地の内でも奥地なのだ。


となると、あの冒険者の実力はかなりの腕となるか……

装備はそうでもないがなぁ


相手にしている魔物は《ギガントベア》

うん、その名の通り熊です。

しかし、常に二足歩行で腕は丸太のように太い。

その先端には鉈のような爪がついている。

それが振り子のように左右から冒険者を襲う。


冒険者は何とか避けながら攻撃を繰り出していく。

あの装備では一撃でアウトだ。


「ふむ、観戦でもしますか!」


俺はスタスタと近づき10メートル程離れた所に腰を下ろす。


数分後、勝敗はあっけなく決まってしまった。

結果は  ギガントベア・WIN


冒険者はギガントベアの攻撃に集中していたが、

ふと俺のほうに目が行きギョッとした瞬間に身体を引き裂かれたのだ。

そりゃそうだ、必死に戦っていたのにふと見たら観戦者が居て、

助けようともせず盛り上がっていたんだから。


「ありゃ、負けちゃったかぁ~、せっかく応援したのになぁ 残念」


俺は興味が無くなったんで立ち上がり、服についた埃を掃うと背を向けて歩き出した。


しかし、ギガントベアは標的を俺へと変え向かってきた。

今まで戦っていて興奮していたのだろう、危機感も無く爪を振う。


俺は後ろ向きのまま、横から迫ってくる爪を摘まんで止めた。

そのまま魔力を爪から注ぎ込む。


その瞬間ギガントベアの腕が根元から爆ぜた。


《爆撃》俺が放った魔法、その名のとおり爆発させる魔法だ。

その攻撃を受けた為、恐怖を感じギガントベアは必死に走って逃げていった。


さて行きますか。

街に着いたらまず何をしようかなぁ……。

目的は勇者に会うことなんだけど、すぐに会えるわけないよな~。


……はて? 何か忘れているような?


おぉ! 俺、お金持ってない!

そのまま飛び出してきたから起きた時のままだ。

服も黒を基調としているが魔王様仕様の威厳(笑)があり、存在感が溢れ出ている。

着替えなければなぁ。


「ふむ、困ったな。どこかに落ちてはいないもんかな?」


ふと足元を見るとなんと! 落ちているではないか、お金が!

あぁ何ということでしょう、神は魔王をも救ってくださるのですね。


俺は神に感謝して『血の付いた』お金の袋をコートの中にねじ込んだ。


俺の旅も順風満帆だな!

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