奪い合いの果てに
ギャグです。あらすじの言葉を入れた恋愛小説を書きたかったのですが、私にはレベルが高すぎたらしく、方向性を見失ってしまいました。
※お忙しい方の閲覧は推奨しません。無駄に長いために、時間を大幅に無駄にしてしまう可能性があります。
「コイツは俺のモンだから」
そう言って祐也は私を引き寄せた。
「バカ言うな、オヤジさんは僕にくれたんだ。僕のモノに決まっているだろう」
そう言って勝之助は私を祐也から奪い返した。
(あぁ、やめて!!お願いだから、私のことでケンカしないで)
言いたいけど、言えない。だって私は……
「俺の方がコイツを愛しているに決まってる!!」
私の心の叫びなんて露しらず、祐也は得意げにそう言って、再び私に手を伸ばす。ああ、なんて恥ずかしい……
しかし勝之助は祐也の手を弾き、祐也を睨みつけた。
「いくら君が親友でも、コイツを奪おうってんなら話は別だ。例え君との仲が壊れようとも、僕はコイツが欲しいんだ」
私は泣きたくなった。どうしたら、どうしたらいいんだろう。私なんかのせいで彼等の関係が失われてしまったら、私はきっと一生後悔する。
え?ふと私は宙に浮いている心地がした。気づくと勝之助の唇が私のすぐ近くまで来ている。あぁ、私は勝之助のモノになるのか。勝之助の唇が触れる、そう思い、何もかも諦めて目を閉じた。が……
いつまで経っても勝之助の唇は触れてこない。不思議に思って目を開けると、勝之助は唇をへの字に歪ませていた。勝之助の腕は祐也の右手に掴まれ固定され、額はがっちりと左手に抑えられている。
「おいおい、勝手なことしないでくんない?俺の小さなブタちゃんによぉ?」
そんな呼び方ひどい!!私は割と白い自分の身体が、静かに火照るような感覚がした。
「あのさ、“俺の”って言い方止めてくんない?完全に僕のだから」
勝之助は苛立った調子で言い放ち、祐也の手を振り払おうとした。
「ははっ。完全に?よく言うよ」
祐也の力は強いらしく、勝之助の腕は動かない。祐也は勝ち誇ったように笑い、言葉を続けた。
「大体お前は本当にコイツを欲しいのか?本当は、お前はもっと早くコイツを自分のモノにできた筈だ。しかしそうしなかった。俺が狙っていたことくらい分かってたのにだ。違うか?」
勝之助は祐也の視線を避けるように俯く。図星だったのかと思ったが、そうでもないようだ。
喉奥で笑い、肩を震わせていた。かと思いきや、勢いよく顔を上げて口を開いた。
「あぁ、知ってたさ。丸わかりだった!!実に愉快だったよ。君の視線がチラチラとコイツに向く様。見ていた僕が恥ずかしかったくらいだ」
「なんだと……」
先ほどの余裕綽々の笑顔は一変。祐也は耳まで真っ赤に染め上げ、怒りを露わにしている。怖い、怖いよ。私はどうしたらいいのよ……私にはどちらかを選ぶことなんてできない。どうしたら2人を幸せにできる?
「でもその滑稽な姿を見ているのも、段々楽しくなってしまって。ずっと最後まで見たくなったんだよ。“絶対に手に入らない”君がそう分かるその時までなっ!!」
止めてよ、これ以上祐也を挑発しないでよ!!
「そんなの負け惜しみだ!!」
こめかみに青筋を立てて、祐也はついに立ち上がった。
グイ。それと同時に勝之助の腕が右に傾き、私は滑り堕ちていく。
――ペタリ。
私は音を立てて地面に身体を打ち付けられた。祐也と勝之助の視線、そしてオヤジさんの視線を一気に感じる。
「あ」
3人が同時に呟く。しかし次の瞬間、祐也と勝之助は私から目を離した。もう私に一切の興味はないようだ。それはそうだろう。私はこんなにも汚れてしまったんだから。
「オヤジさん、すまなかった。勿体無いことしちゃったなぁ」
祐也は申し訳無さそうに頭を掻いた。
「ムキになりすぎた。面目ない」
勝之助もそう言って頭を下げた。
「いやぁ、別に良いって。チャーシューの1枚や2枚くらい。その代わりにまた食べに来てくれよ?
オヤジさんは朗らかな笑顔で手を振った。
「当たり前だろ。なあ勝之助?」
「ああ、オヤジさんのチャーシュー麺は日本一だからな」
2人は顔を見合わせて笑った。
これで良かったんだ。私はゆっくりと目を閉じた。
閲覧下さった方、ありがとうございました。本当にすいませんでした!!
いくら欲求不満でも、チャーシューの擬人化なんてするべきではありませんでした。本当にお騒がせしました。2013年記念すべき初投稿がこんなことになってしまうとは……深く反省しております。