ゴーン平原商業ルート7
商隊はゴーン正統王国統治地域に入ってきた。
街道は広くなり、東へ伸びる街道が見える、
俺たちは街道を北へゴーンの都を目指す。
ゴーン南部辺境砦が見えてきた、砦前の街道脇には人だかりと馬車の列が見える。
出て行く者、入ってくる者が列をつくり、兵士が手続きをしている。
名前、国・部族・ギルド・組合の証明、目的、積荷の確認し砦通過証明を渡してくれる。
真っ当な者は必ず通過証明を持って出入りする。
統治地域内で問題が起きたとき、役人にまずは所持しているか確認されるからだ。
ここでは税をとることは無い、検問だけだ。
勝手に出入りする真っ当ではない者は、辺境軍の討伐・捕縛対象となる。
辺境軍は国王直属の軍であり、高位貴族が指揮官に任命されている。
まぁ、かなりの権力者がなるのが慣例だよ。
えっ!、何か訳わからないって?
どうして砦通過証明を渡したり、取締りを高位の偉いさんがやる慣例かって?
そりゃ、あんた、どこぞの世界の民主主義にどっぷりと浸かって毒されているね?
仕方ないねぇ..
この世界では神威、武力、金力、血縁、人脈による統治が行われている。
一応は紙に書かれた決まり事、法律もあるが非常に大雑把なものだ。
細かいところは古王国時代からの慣例・古い掟が使われ続けているんだよ。
曖昧でどうとでも解釈できる場合が多い。
結局、指揮官の判断しだいという、人・物の出入りを掌握する絶大な権力を持つことになる。
細かい実務は下の者におまかせだ。
都に居てたまにしか現場に来ない、どの世界でも同じだね。
すごい利権だよ、誰もが欲しがる。
ましてや高位貴族てのは、王族以外には文句を言わせない権勢を持っているし。
そりゃ商人や困りごとを持つものは必要とすれば頼みに行くわ。
頼み事するときは手土産もってお伺いするだろう?
ただはいかんよ? 一般常識だよ。
まぁ.....相手は偉いさんだかね、なかなか直接は無理だよ。
仲介者が要るよ、相場は高いからね。
普通の一般人は頼み事は無いのが一番だよ。
商隊の商人は様々で、しっかり検問されている者がほとんどだが、
何やらチラッと見せて通っていく者も多少いる。
我々護衛の傭兵はギルド又は組合の所属票を見せると通してくれる。
見知りの兵がいれば声をかけ、土産を渡したりもする。
付き合いは上とばかりしていたらいかんよ?
ちゃんと実務をこなしている者とも仲良くしなさいよ。
意外と情にほだされる。
そこそこ時間が掛かったが何事も無く通過できた。
さあ 都まであと僅かだ。




