ゴーン平原商業ルート5
前方に泉が見える。
ルート最後の中継拠点に着いたよ。
泉は水の神テティスの神域だ、神域から外れた左前方に中継拠点が見える。
街道は神域を回りこむように拠点に至る。
なぁ、泉からきれいに吹き上がる水が見えるだろう、テティス様のご機嫌、今日は麗しい。
俺がいる間続くことを願うよ、女神は気分が変わりやすいんだよ。
神域て言葉の意味が解かるかい、神が宿る場所であり立ち入ってはいけない場所のことだ。
この世界では危険地域だよ、中に入ったら神の関心を買う。
あんたらに解かりやすく言い換えると、
家の嫁さんが台所で調理していて、ふと気がつくと汚らしい毛虫が迷い込んでいる。
「きゃー」と声を上げて殺虫剤を振り撒き、毛虫も亭主も皆駆除してしまうんだよ。
柵が見えてきた、見張り台の人影が見える。
入り口に近づく、商隊を出迎える人垣ができている。
商隊の商人は商魂たくましい、見知った相手を見つけたら声をかけながら進んでいる。
おや、遠巻きに若い娘たちが入ってくる男共を眺めている。
着飾った娘たちは久しぶりに見るので魅惑的だ。
若い男共は思わず見ほれてしまっている、へっ...知らないぞ。
娘たちは婿探しだ、近隣にいる部族が集まっている。
なにせ、ここいらには若い男との出会いは少ない、商隊の若い男は狙い目だ。
甘い言葉が飛び交うだろう。
馬車を留め置く広場に順に入っていく。
見ると他の商隊や少数で旅している者の馬車や馬の集団がいくつかある。
俺達より大きな商隊も入っているようだ。
やれやれ、広場に入り終わってほっとしたよ。
皆それぞれ明日の準備に入る、商人たちは明日、市を開く準備をするんだ。
ここはルートの中継場所ととも、市場にもなる。
周辺の人たちは売りたい物を持ちより、欲しい物と物々交換するのさ。
商人たちはここで仕入れも行う。
市を必ず開くのは、商人にとって欠かせない欲しいものがあるからだ。
何だか判るかい?
考えてみろよ、商人は大陸・平原に関わり成せる商売だ。
いたる所の関わりや、機会を人に先んじて求めている。
必要な情報が欲しいんだ、人脈も欲しい。
こんなに色々な種族と商人が集まり、情報を得られる場所はなかなか無いんだよ。
妖精族、獣族さえ時たま現れる。
情報は我々傭兵にとっても重要だ、いろいろな所に顔を出し挨拶を行う、
丁寧に会話し情報を交換する。
ただ聞くだけでは情報は取れないよ、情報を出し、探りあい。等価交換するのさ。
一方通行はだめだ、互いに情報価値を理解し交換は成立する。
この手の会話は難しい、頭の切れと達者な口、経験が要る。
皆も精進しなよ。