ウル商業市6
久しぶりに見る海は心に安らぎを感じる。
潮風の冷たさは、また格別に心地よい、海岸は海の向こうへ想像を掻き立てる。
えー、久しぶりに傭兵組合に挨拶に寄ったら工務窓口の事務員さんに捕まった。
「ガストンさん、ユリアンさん、ちょっと来てください」
珍しい、窓口の事務員さんの方から声がかかるなんて。
「なにかあったかな?」
「さぁ?」
窓口に行くか。
「ガストンさんの所で港の道の補修工事を請負ってもらえませんか。」
「市内の道の補修工事は工務組合がやるんじゃないの?」
「他の仕事で忙しいらしくて傭兵組合でやることになりました。」
「やっても良いけれど発注主はどこ?」
「魔法魔術師協会です。」
「珍しい発注主だな。」
普通、魔法魔術師協会が市内の道の補修を行うことは無い。
だいたいは商人組合からの依頼だ、ウル市では道を利用するところが修理する。
「このまえ、協会本部から港までゴーレムが暴走して道を壊したようですよ。」
「道だけ?」
「なんでも超重量級ゴーレムの走る速さを競争したそうです。」
そりゃ~、道も壊れるわ。
「迫力あっただろうな。」
「次回までに専用の競技場を用意するようですよ、賭博協議会が期待しているそうです。」
「俺も見に行きたい。」
「発注額と内容はこれを見て確認してください。」
というわけで臨時の仕事が入った。
港に近い道路を補修している。
ウル市の道は柔軟石を敷詰めて造ってある、かなり頑丈な道だが、
ゴーレムの足跡でぐちゃぐちゃになっている。
超重量級のゴーレムというのは、いったいどんな重さか?
重機貸出屋から借りた大型竜で、撒いた柔軟石を踏みつけさせ、竜のブレスで焼付ける。
これを延々半日かけて魔法魔術師協会前から港までたどり着いた。
時たまアルコール90度の火酒を樽で飲ませなければならない。
竜に言わせると燃料補給だと言うが少し疑問だ、ただの大酒飲みじゃなかろうか?
重機屋のおやじには、竜の機嫌を損ねないようにと言われている。
竜と契約するのは大変らしい、ちなみに重機屋のおやじは魔法使いだ。
中央大荒野の山から引っ張ってくるらしい。
終わるまでに20樽以上飲んでいた。
仕事が終わると上機嫌でふらふらと蛇行しながら帰っていった。
傭兵組合の事務員さんに仕事が終わったことを伝え事務所に戻った。
火酒が2樽余ったので猫とおたまに渡した、何故渡したのか自分でも不思議だ?
俺もついでに飲んでみた、最初は記憶が残っていたが目が覚めると翌朝だった。
上を見ると棚の上に猫が倒れている。
樽は空になっていたので全部のんだらしい、樽の底におたまが浮いている。
「暗い、暗い」とつぶやき声がする。
風呂に入りに言ったらタイルの上で何人か寝ていた。
番台をのぞくと「おはようございます。」といつもの若い衆に挨拶された。




