ゴーンの都3
都を流れるセラ川、都を潤し人と物を運び、この地を繁栄させている。
川は北部の山岳地帯を源流とし枝分かれし、ゴーン大平原中央を横切り海に至る。
「おーい、いいかぁあ」
「よーし、放せ!」
ドスーン、ゴロゴロゴロ、ドスーン!!
人間、額に汗をかいて働くことは人生の美学だ。
労働者諸君、勤労できることを神に感謝し働け、捨てる神あれば拾う神もある。
なに言ってるんだか解からないと思うんだが?
「ガストン、降ろし終わったぞ。」
「よし、次行こうか。」
えー、現在、俺たちは都の人々の安全を確保するため任務を遂行している。
結論から言おう、徴税官、いや辺境軍討伐部隊百人隊長ブルーノ君はいい奴だった。
ビジネスは相互理解から始まるんだよ。
俺たちは徴税官事務所に行くにあたって道理を踏まえた用意はできていた。
.......時はさかのぼる..................
「さあ、これに署名しろ。」
「こ、こ、これは徴税官殿、お待ちください。」
ユリアンが部屋の隅に皆を集め、小声で言う。
「だめだ、作戦を切り替えるぞ。」
「うむ、仕方あるまい。」
ユリアンは徴税官前に戻り、
「我々大変失念しておりました。
実はこの部屋に入る前に、このような袋が落ちていまして、
改めて見ればこれは徴税官殿の持ち物かと思いますが?」
「どれどれ、おお間違いなく俺が落としたものではないか!」
「それは、それは、我々ほっと致します。」
「俺も謝らなくてはならない、お主がいない時に見直したのだが、
ちょっと誤りを見つけてな、ここはこうなるようだ。」
「あ、それはありがとうございます。
ではここに署名させていただきます。」
「うむ、ごくろうであった、税は納付窓口で納めるように。
お主らはなかなか見所がある、ひとつ仕事を紹介しよう、
俺の友人が行政府工務局におる、紹介状を持っていけ、仕事をもらえるぞ。」
「おお、ありがとうございます。」
.......現在に戻る..................
という話があった。
俺たちはセラ川の護岸工事をしている。
行政府工務局直依頼の工事だ。
発注金額は公共工事としては、まぁまぁだよ。
そりゃ、お礼はちゃーんとした。
ありがたいねえ。
この世界では実務担当役人の権限は大きいんだよ。
えっ、どこぞの世界のよくある話と同じではないかって?
違うだろう?
真っ当な傭兵が税を納め、都の民を守るため護岸工事で汗してるんだ。
皆の世界でもあるだろう?
軍人が臨時で道路を造ったりしているだろう?
まあ、人間疑えば限がないよ?
この世界では情がある役人の美談なんだ、労働者の団結てやつよ。




