君の夢を持って逃げた私。
私の地元で大好きな場所がある。
長い長い坂を、自転車で上るとある、小学校の屋上。
真っ暗い闇の中で、目を一瞬で奪う力強い光、
綺麗な綺麗な、魅力的な星々は、
5人の頭上、空高く光り続ける。
いつだってそこにいてくれた。
ずっとずっと、5人で見上げていた、
この満天の星々と、この時間が、堪らなく大好きで、大好きで・・・
私にとっての全てだったんだ。
本当に全てだった、この時間のまま、私は止まっている。
「いつかは、思い出になる。それは、良くても悪くても・・・思い出になるから・・・。」
アイツはそう言って、笑っていたけど、泣いてしまいそうだった。
私は、《泣けるなら、泣けば良いのに》って思った。
アイツは優しく両手で、私の頬に手を添え、無理な笑みを向けていた。
アイツの言った言葉と、無理に笑う顔に、苛立ち、腹の底から吐き気を覚えた感覚でいた。
でも、作り笑顔でアイツや、周りに居た友達に、
「大丈夫!」
って言い放った自分自身には、もっと苛立ち、吐き気がした。
地元で失った事は、たった一つだけど、それは大きくて、
17歳だった自分には、逃げようって思う解決策しかなくて、
周りの友人や、大人には散々言われたけど、
私は地元に背を向け、17歳の冬に逃げるように町を出た。
アイツが言った、あの言葉にずっと問いかけたままで。
「いつかは、思い出になる。それは、良くても悪くても・・・思い出になるから・・・。」
「思い出は、前に進めた奴だけが、心の何処かに終えるから、思い出なんじゃないの?」
私は、何が出来るだろう?
いつかは、彼氏がくれた夢を自分の夢に出来るだろうか?
私は・・・
“思い出”と口にする日が来るのだろうか・・・?
読んで頂き、有難う御座います。
読みにくい点等あると思いますが、また読んで頂ける様、頑張りますので宜しくお願い致します。