《スカイツリーダンジョン編:第三層 ― 深層境界/滞在者の領域》
第三層探索が、日常になりつつあった。
毎回、深入りはしない。
二戦、多くて三戦。
必ず余力を残して撤退する。
その慎重さが、結果として経験値と信頼を積み重ねていた。
■ 管理課からの詳細情報
「確認された特殊エリアは、第三層中部です」
管理課の職員が、簡易マップを示す。
「魔獣の出現頻度が極端に低い代わりに、
侵入条件を満たさないと入れない」
「条件?」
「高位スキル保持者、もしくはそれに準ずる耐性」
全員の視線が、俺に集まる。
(……やっぱり、そう来るか)
《絶対防衛》が、鍵になる。
■ 特殊エリアへの接近
指定された地点に近づくにつれ、
空気がさらに重くなった。
だが、不思議と魔獣の気配はない。
「……静かすぎる」
「逆に怖いな」
岩壁に囲まれた、半円状の空間。
中央には、淡く光る結界が張られている。
直感で分かる。
ここは、
選ばれた者しか入れない場所だ。
■ 侵入判定
俺が一歩前に出た瞬間、
結界が反応した。
《絶対防衛》が、
強制的に活性化する。
「……っ!」
SPが、一気に削られる。
だが、結界は弾かれなかった。
逆に――
静かに、道が開く。
「通れる……!」
仲間たちが続く。
中に入った瞬間、
全員が息を呑んだ。
■ 内部構造
そこは、明らかに“安全地帯”だった。
魔力は濃いが、安定している。
視界も開け、地形も単純。
「……ここ、休めるぞ」
後衛が、はっきり言う。
第三層で、
初めて安心して立てる場所。
だが、その代わりに分かる。
(……維持費、あるな)
結界の中でも、
《絶対防衛》のSP消費は止まらない。
守り続ける限り、
俺が“鍵”であり続ける。
■ 長期滞在の代償
「つまり……」
弓使いが整理する。
「あなたがいる間だけ、
ここは安全地帯になる」
「俺が限界になったら、終わりだ」
誰も、否定しなかった。
それが、現実だ。
長期滞在は可能。
だが、それは――
守戦士一人に、全てを背負わせる形。
(……軽くはないな)
■ 決断
俺は、深く息を吸った。
「ここを、拠点にしよう」
一瞬、空気が張り詰める。
「無理はしない。
俺のSPが危険域に入ったら、即撤退」
「滞在は短時間から始める」
条件を、はっきり決める。
「それでも――
第三層を攻略するなら、ここは必要だ」
全員が、ゆっくり頷いた。
■ 新しい日常の始まり
簡易的な休憩準備を整え、
結界内で座り込む。
第三層で、
初めて“腰を下ろす”。
「……不思議ですね」
後衛が、静かに言う。
「ダンジョンの中なのに、
ちゃんと休める気がする」
「ここからが、本番だな」
剣士が笑う。
俺は、盾を立てかけながら思う。
(……守戦士ってのは)
戦うための職じゃない。
居場所を作る職業なんだ。
第三層は、
ようやく“攻略対象”から
“生活圏”に変わり始めた。
■ そして、次の問題
だが――
問題は、すぐに現れる。
結界の外。
かすかに、別の人影が見えた。
(……俺たちだけ、じゃない)
第三層の特殊エリア。
その存在は、いずれ知られる。
狙われるのは、
場所か。
それとも――
鍵である、俺か。
守戦士として、
試される段階は、もう一つ上に進んでいた。
第三層特殊エリア発見回でした。長期滞在という“便利さ”の裏に、守戦士一人にかかる負担と責任が明確になります。拠点化は安定を生む一方で、外部からの干渉や対立の火種にもなります。




