《スカイツリーダンジョン編:高位スキルロール/代償を知る者》
高位スキルロールは、簡単には使えない。
それが常識だった。
管理課の鑑定結果が出たのは、第二層ボス討伐から二日後のことだ。
■ 明かされる内容
「正式鑑定、完了しました」
職員は一度、深く息を吸ってから告げる。
「スキル名――
《絶対防衛》」
室内が、静まり返った。
「パッシブ系・高位スキル。
効果は、防御時の被ダメージ大幅軽減。
条件付きで、致命傷を無効化します」
条件付き。
その言葉が、やけに重く響く。
「代償は?」
俺の問いに、職員は頷いた。
「――常時SP消費型です」
予想していたが、やはり来た。
「発動中、SPは自動的に減少し続けます。
解除は可能ですが、再発動には大きな負荷がかかる」
守戦士向け。
だが、扱いを誤れば命取り。
■ 警告
「もう一つ、重要な点があります」
職員は、声を低くした。
「高位スキルは、
スキル枠を固定化します」
「……固定化?」
「はい。一度使用すると、
その枠は今後変更できなくなります」
取り消し不可。
やり直しもない。
選んだ道を、最後まで歩くことになる。
(……なるほどな)
強力なスキルほど、自由を奪う。
それが、この世界のルールだ。
■ 使うか、使わないか
その夜、宿で一人考える。
使わなければ、安全だ。
今まで通り、慎重に進めばいい。
だが――
第三層以降、
今のままで通用する保証はない。
(……前に立つって決めたんだ)
守戦士として。
中途半端な覚悟で、
仲間の前に立つつもりはない。
俺は、スキルロールを手に取った。
■ 使用
ロールが、淡く光る。
文字が、溶けるように消え、
胸の奥に流れ込んでくる。
次の瞬間――
「……っ!」
息が、詰まった。
体の内側に、重りを付けられたような感覚。
何もしていないのに、SPが削られていく。
(これが……代償か)
だが同時に、分かる。
今の俺は、明らかに“硬い”
外からの攻撃を、想像しただけで、
受け止められる確信がある。
■ 変化
立ち上がると、
足取りが、わずかに重い。
長期戦になれば、SP管理は地獄だろう。
だが――
短時間なら、
圧倒的な壁になれる。
(……守戦士としては、正解だ)
自由は減った。
逃げ道も、少なくなった。
それでも。
前に立つ覚悟は、
よりはっきりした。
■ 代償を受け入れる
翌日、パーティに報告する。
「高位スキル、使った」
一瞬、沈黙。
「……戻れないやつ、ですよね」
「うん」
弓使いが、静かに言う。
「でも、それで前に立ってくれるなら……」
剣士が、はっきり頷いた。
「頼もしい」
後衛が、少しだけ笑う。
「無茶は、しないでくださいね」
その言葉に、俺も笑った。
「約束する」
代償は、重い。
だが――
それを背負うのが、
前に立つ者の役目だ。
高位スキルロール使用回でした。強力な力と引き換えに、自由と余裕を失う――この世界の「成長の重さ」を描いています。《絶対防衛》は守戦士として極めて強力ですが、SP管理という明確な弱点を抱えることになりました。




