《スカイツリーダンジョン編:第二層 ― 灰の森林/前に立つ者》
第二層ボスの気配が確認されてから、三日。
パーティは、ダンジョンに入らなかった。
理由は単純だ。
準備が、足りていない。
勢いで挑める相手ではない。
第一層ボスとは、格が違う。
■ 作戦会議
管理課の貸しスペース。
簡易テーブルを囲み、四人で向き合う。
「想定されるのは、広範囲攻撃か召喚系ですね」
後衛の魔法使いが資料を広げる。
「灰の森林ってことは、地形利用もありそうだな」
剣士が腕を組む。
弓使いは静かに言った。
「……一番狙われるのは、前衛だよね」
視線が、俺に集まる。
逃げ場はない。
だが、迷いもなかった。
「俺が、全部引き受ける」
挑発で敵意を集める。
位置を固定する。
致命打は、後ろに任せる。
守戦士として、最も正しい役割だ。
■ 装備と補給
作戦が決まれば、次は準備。
ポーションは多めに。
特に、即効性の高いものを優先する。
防具は、重さより安定性。
動けなくなったら、意味がない。
(……足りないな)
そう思った瞬間、気づく。
足りないのは、装備じゃない。
覚悟だ。
■ 一人の夜
その夜、俺は一人で剣を手入れしていた。
刃に映る自分の顔は、以前より落ち着いて見える。
第一層の頃は、
生き残ることで精一杯だった。
今は違う。
誰かを、後ろに置いて戦う。
守戦士とは、そういう職業だ。
(……怖くないわけじゃない)
だが、逃げたいとも思わない。
前に立つと決めた。
それだけで、十分だ。
■ 出発前
翌朝。
ダンジョン入口前で、全員が揃う。
「……無理だと思ったら、即撤退で」
「了解」
「合図は、あなたに任せます」
最後に、弓使いが言った。
「前、頼みます」
その一言が、胸に響く。
「任せて」
短く答え、俺は先頭に立った。
灰の森林の奥。
魔力が、はっきりと渦を巻いている。
第二層ボスは、もう待っている。
今回は第二層ボス戦直前の準備回でした。作戦・装備・心構えを整理し、主人公が「前に立つ者」として覚悟を固める回です。次はいよいよ第二層ボス戦本編。守戦士と挑発が本当の意味で試されます。




