《スカイツリーダンジョン編:第二層 ― 灰の森林/役割が揃う時》
第二層への再挑戦を前に、俺は管理課のロビーにいた。
掲示板には、いつもより多くの募集紙が貼られている。
第二層解放から時間が経ち、
単独探索の限界に気づいた者たちが増えてきた証拠だ。
(……やっぱり、需要はあるな)
守戦士。
前に立ち、敵を引き付ける役割。
第二層では、明確に不足している。
■ 声をかけられる
「……あの」
声をかけられ、振り向く。
三人組の探索者だった。
軽装の剣士、杖を持つ後衛、そして弓使い。
「守戦士の人、ですよね?
第二層で、前に立てる人を探してて……」
直球だ。
職業が知れ渡るのは、早い。
第一層ボス単独討伐の噂も、尾ひれが付いているだろう。
「条件は?」
「役割分担を守れること。
無茶をしないこと。
それと……途中撤退を決断できること」
悪くない。
(ちゃんと、分かってる)
「いいですよ。今日一日だけ、試しで」
三人の表情が、明るくなる。
■ 第二層・パーティ戦
灰の森林に入ると、空気の重さは相変わらずだった。
だが、一人の時とは違う。
後ろに、仲間がいる。
「来ます、三体!」
弓使いの声。
灰牙狼が、左右から迫る。
「前、引き受ける」
俺は一歩前に出て、《挑発》を発動した。
視線が集まる。
敵意が、はっきりとこちらに向く。
「今です!」
後衛の魔法が飛び、剣士が側面から斬り込む。
連携。
初めてなのに、噛み合っている。
(……これが、パーティか)
一人で受けていた時より、楽だ。
背中を気にしなくていい。
■ 守戦士の役割
数戦こなすうちに、感覚が固まってきた。
俺は倒さない。
止める。
敵を集め、位置を固定し、味方が安全に動ける空間を作る。
「すごいですね……
こんなに安定するとは思わなかった」
「前に立つ人がいると、全然違う」
褒め言葉に、少しだけ照れる。
だが、同時に理解する。
(……これが、完成形の一部)
守戦士は、孤独な職業じゃない。
仲間がいて、初めて真価を発揮する。
■ 小さな成果
探索の終盤、灰牙狼の群れを倒したあと、
床に落ちた光を見つけた。
スキルロールではない。
だが、劣化スキル付きの装備。
第二層らしい戦果だ。
「今日は、ここまでにしましょう」
全員一致で撤退を決める。
誰も怪我をしていない。
それが、何よりの成果だった。
■ 次へ
地上に戻り、簡単な精算を済ませる。
「また、組んでもらえませんか?」
そう言われて、俺は少し考え――頷いた。
「予定が合えば」
守戦士として、必要とされる場所がある。
それは、悪くない感覚だった。
第二層は、まだ始まったばかりだ。
だが――
もう、一人で挑む場所じゃない。
今回は初めてのパーティ加入回でした。第二層という環境が「役割」を要求し、守戦士が他者と組むことで完成に近づく様子を描いています。ここからは人間関係、役割の衝突、成長の差なども物語に絡んできます。次回はパーティ固定化、あるいは第二層ボスの影が見え始める展開に進めます。




