《スカイツリーダンジョン編:第二層 ― 灰の森林/守戦士の再定義》
第二層から戻った翌日、俺はダンジョンに入らなかった。
代わりに、管理課の掲示板と資料室を往復していた。
(やっぱりな……)
第二層での事故報告。
共通点ははっきりしている。
ソロで突っ込んだ探索者ほど、撤退か重傷が多い。
第一層とは、設計思想が違う。
あそこは「慣らし」。
第二層は「役割」を要求してくる。
■ 守戦士の弱点
自分の戦闘ログを見返す。
・防御力は足りている
・HPも問題ない
・だが、戦場を制御できていない
敵が散る。
背後を取られる。
複数を相手にすると、対応が遅れる。
(挑発があるのに、使えてない)
理由は明確だ。
職業レベルが低い。
SPにも、余裕がない。
■ 第一層での“訓練”
結論は単純だった。
「……戻るか」
第一層へ。
すでに攻略済みの階層。
だが、今の目的はドロップでも経験値でもない。
職業としての動きを固めること。
■ あえて、受け続ける
影狼、影蟲、影鼠。
弱い魔獣ばかりだ。
だが、俺は倒しに行かない。
正確には――
すぐには倒さない。
影狼の攻撃を受け、体勢を崩さずに耐える。
影蟲の連携を、位置取りで分断する。
逃げない。
追わない。
(……こうか)
守戦士は、「壁」じゃない。
重りだ。
敵を自分の周囲に縛り付ける存在。
■ 初めての《挑発》
ある程度、感覚が掴めてきたところで、
俺はついに《挑発》を使った。
「……来い」
魔力が声に乗る。
派手なエフェクトはない。
だが、影狼たちの視線が、一斉にこちらへ向いた。
(これか……)
重い。
想像以上に、SPを食う。
だが、敵が“逃げない”。
自分だけを見る。
受ける。
耐える。
崩れない。
数体をまとめて相手にしても、致命傷はない。
■ 職業レベル上昇
戦闘の終わり。
体の奥に、確かな変化が走った。
《職業【守戦士】のレベルが上昇しました》
《防御補正 上昇》
《挑発効果 微強化》
「……やっとだな」
これで、第二層に“挑める”最低ラインに立った。
完璧じゃない。
だが、逃げ回る段階は終わった。
■ 次に必要なもの
ダンジョンを出て、夕暮れの街を歩く。
(次は……一人じゃないな)
第二層は、役割を要求する。
なら、応えるしかない。
守戦士。
前に立つ者。
その役割を、必要とする場所は――
確実に、ある。
今回は地味ですが重要な「職業再構築回」です。第二層で通用しない理由を整理し、守戦士という職業を“壁”ではなく“戦場を縛る存在”として再定義しました。《挑発》がようやく実戦投入され、次からは本格的に第二層を攻略する準備が整います。




