《スカイツリーダンジョン編:第二層 ― 灰の森林/境界》
第二層への階段は、第一層ボス部屋の奥にあった。
管理課の記録では「環境変化あり」とだけ記されている。
俺は数日間の休息と買い出しを終え、再びダンジョンへ入った。
装備は変わらない。
だが、持ち物の中身は違う。
守戦士としての経験。
そして、スキルロール《挑発》。
(第二層は……試されるな)
■ 環境の変化
階段を下りた瞬間、空気が変わった。
湿り気を帯びた、重たい匂い。
視界は広がり、石造りの回廊は消えている。
そこに広がっていたのは――
灰色の森林。
枯れ木のような木々が立ち並び、地面は柔らかく沈む。
影の回廊とは、まったく違う。
鑑定を走らせる。
《第二層:灰の森林》
環境影響:視界不良・足場不安定
魔獣傾向:集団行動・奇襲
「……なるほど」
ここは、防御力だけでは足りない。
■ 第二層の魔獣
最初に現れたのは、灰色の小型魔獣。
狼に似ているが、影狼とは違う。
《灰牙狼》
危険度:中
特徴:連携・側面攻撃
一体だけなら問題ない。
だが――
気配が、増える。
(複数か)
守戦士として、即座に前へ出る。
だが、敵は正面から来ない。
左右、背後。
森の影を使った動き。
「……第一層とは、別物だな」
■ 挑発は、まだ使わない
《挑発》を使えば、敵の注意を引き付けられる。
だが、今は使わない。
理由は単純だ。
一人で複数を抱え込むには、まだ職業レベルが足りない。
俺は動きを絞り、後退しながら戦う。
受けて、切り返す。
灰牙狼を二体倒し、三体目が逃げる。
ドロップは――
魔石と、灰色の牙。
スキルロールは、出ない。
(第二層は、そう簡単じゃない)
■ 第二層での“正解”
しばらく探索して分かったことがある。
第二層は、
・地形
・数
・役割分担
これらを前提に作られている。
ソロ探索は不利。
第一層のように、耐えて殴るだけでは通用しない。
それでも――
守戦士という職業が、無意味になるわけではない。
(前に立つ、ってのは……)
単に殴られることじゃない。
逃げ道を作ることでもある。
今日は、深追いしない。
第二層は「見る日」だ。
■ 撤退と判断
一定距離を進んだところで、俺は引き返した。
無理はしない。
ダンジョンを出ると、外の空気がやけに軽く感じる。
(……第二層は、まだ早い)
だが同時に、方向性も見えた。
・職業レベルをもう少し上げる
・《挑発》を使えるだけの余裕を作る
・いずれは、パーティを組む
探索者として、次の段階に入ったのだと実感する。
第二層突入回でした。環境・魔獣・前提条件が一気に変わり、「第一層ソロ攻略」の成功体験がそのまま通用しないことを描いています。守戦士と挑発は強力ですが、まだ“完成形”ではありません。次回は職業レベル上げのための再調整回、あるいは初めてのパーティ編成へ自然につなげられます。




