《スカイツリーダンジョン編:第一層 ― 影の回廊/五本目、そして職業へ》
反射神経強化のスキルロールを手に入れてから、俺はすぐには動かなかった。
焦りは禁物だ。
最後の一本は、決断そのものになる。
数日間、ダンジョンには入らず、体を休めながら考え続けた。
今手元にあるスキルロールは四つ。
・身体強化(Lv1)
・剣術基礎(Lv1)
・耐久強化(Lv1)
・集中力強化(Lv1)
そして候補としての――
・反射神経強化(Lv1)
(……方向性は、完全に揃ってる)
前に出て、耐え、殴り続ける。
派手さはないが、確実に生き残る構成だ。
問題は一つ。
この構成で、どんな職業になるのか。
答えは、石盤にしかない。
■ 五本目、確定
再び影の回廊へ。
目的は探索ではなく、確認だ。
安全圏で魔獣を数体倒し、体の調子を確かめる。
問題ない。
俺は意を決して、反射神経強化のスキルロールを取り出した。
(これで、五つ)
鑑定をかける必要はない。
内容も、重さも、すべて理解している。
スキルロールを収納し直し、俺はボス部屋前へと向かった。
■ 職業の石盤・再読
巨大な石扉の前。
壁に埋め込まれた職業の石盤が、前回よりも強く光って見える。
五つのスキルロールを所持した状態で、石盤に触れる。
――ゴォ……。
低い音とともに、石盤全体が淡く輝いた。
《条件達成》
《一般職選択が可能です》
文字が流れ、複数の職業名が浮かび上がる。
・剣士
・重剣士
・守戦士
・前衛兵
どれも、今の構成に対応している。
(……剣士は汎用、重剣士は攻撃寄り。守戦士は耐久特化)
少し考え――
俺は一つを選んだ。
■ 職業取得
指を伸ばし、石盤に刻まれた文字に触れる。
【守戦士】
次の瞬間、体の奥に重みが走った。
スキル取得とは比べものにならない、明確な変化。
《職業【守戦士】を取得しました》
《基礎防御力 上昇》
《最大HP 補正 付与》
《職業スキル枠 解放》
「……これが、職業か」
身体が軽いわけではない。
むしろ、地に足が吸い付くような感覚。
踏ん張れる。
倒れない。
前に立つための力だ。
同時に理解する。
職業は“強くなる魔法”じゃない。
役割を、固定する楔だ。
俺はもう、後衛には戻れない。
逃げる役でもない。
前に立つ者として、生きる。
■ 静かな確信
石盤の光が消え、いつもの静かな影の回廊に戻る。
ボス部屋の向こうから、相変わらず重い気配が伝わってくる。
だが、今は不思議と恐怖はなかった。
(……まだだ)
職業を得ただけ。
使いこなせなければ意味はない。
今日は、ここで戻る。
職業レベルを上げるのは、次の探索からだ。
影の回廊を引き返しながら、俺は確信していた。
探索者として、ようやく――
スタートラインに立ったのだと。
ついに五本目のスキルロールが確定し、主人公は一般職「守戦士」を取得しました。ここまで長く積み重ねてきたスキル構成が、職業という形で一つに束ねられています。職業取得はゴールではなく、役割を背負う始まりです。次回からは職業レベルの成長、そして第一層ボスへの本格的な挑戦が視野に入ってきます。




