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スカイツリーダンジョン編・第3章:影の回廊の兆し(続)

スカイツリーダンジョン一層の中腹。

淡い光に照らされた石畳の通路を、アキラは慎重に進んでいった。


壁面には黒い蔦のような紋様が絡みつき、時折ひゅうと風が吹くような気配が通り抜ける。

魔獣の気配は遠ざかったが、油断するとすぐ背後から襲われることをアキラはすでに理解していた。


レベルは今日だけでようやく3に上がっていた。

魔獣は弱いとはいえ、1日に出会える数は多くない。

だからこの成長速度はかなり早い。


「……それも、鑑定のおかげか」


腰につけた革袋の中には、今日手に入れたばかりの――

《鑑定:レベル10》スキルロールが収まっている。


本来なら四桁万円で売れる超超超レア。

しかし今は売る気などない。

むしろ、これがあったからこそ危険を避け、アイテムの特性を読み解きながら進めた。


「早く使いたいけど……スキルロールは戻ってからだな」


ダンジョン内で新しいスキルを覚えるのは危険だ。

SPが足りなければ、即座に“動けなくなる”という致命的なデメリットがある。

そんな無謀はしない。

● 影の気配


視界の奥、暗がりがゆらりと揺れた。


「……影狼か?」


影狼シャドウ・ウルフ

物語系魔獣の代表格で、黒い影のように輪郭が揺らめき、実体があるのかないのか分かりにくい。


アキラは姿勢を低くして剣を構えた。


すると、影が二つ、三つ──。


「増えてる……っ!」


影狼は群れるタイプだ。

レベル3のアキラにとっては少し厳しい相手。


一歩踏み込み、横薙ぎの一撃。

1匹の影狼が霧のように散る。


──しかしその瞬間、背後から気配。


ギリッ、と噛みつきが肩に触れかける。

だがアキラは咄嗟に身を伏せ、逆手にした短剣を影狼の顎下へ突き刺した。


「はぁ……危なかった」


影狼三匹を相手にして、なんとか勝利。

だが緊張で体が震える。


その残滓の中から、キラリと光るアイテムが現れた。


「……スキルロール、か?」


拾って、鑑定メガネを通してのぞく。


【スキルロール:《影歩き》/アクティブ/レベル1】


「おお……!」


影に紛れ、三秒だけ透明化するスキル。

短時間でも危険回避には最高だ。


「今日の成果にしては十分すぎるな」


レベルは3。

スキルロールは二つ。

そして鑑定レベル10のロールもある。


今日はここまでにしようとアキラは決めた。

● 一層出口 ― 帰還


地上へと伸びる光の通路を歩き、転移ポイントを踏む。

次の瞬間、視界が揺らぎ、ダンジョン入り口前の管理区画に戻ってきた。


「今日の収穫、けっこうすごいぞ……」


まずはダンジョン管理課の受付に向かい、魔石や魔獣素材を買い取ってもらう。


「影狼の魔石3つで計1万2千円、毛皮は状態がいいので3万円ですね」


弱い魔獣だが、追加で素材が手に入ったためそこそこの金額になった。


「じゃあ、買い出し行くか」

● 買い出しと休息


商店街に戻ったアキラは、まずポーションを6本購入した。

1本1万円。

高いが、安全には変えられない。


次に、保存食と水袋。

そして夜用の簡易灯具。


「テントは……やっぱ高いな」


ダンジョン内で寝泊りできる特製テントは数十万円。

しかも魔獣除けの符がついた高級品は三桁万円。


「これは、もう少し稼いでからだな」


だがそのうち、もっと良いものをダンジョン内で拾えるかもしれない。

そんな期待もあった。


買い出しを済ませたアキラは、いつもの安宿へ戻り、ベッドに倒れ込んだ。


「明日は休息日。あさって、もう一度挑もう」


そう決めると、深い眠りへ落ちていった。


──しかし、アキラの知らぬところで。

スカイツリーダンジョンの第二層で、不穏な変化が始まりつつあった。


影が伸び、壁が鳴り、影獣たちがざわめく。


――アキラを待つ者の気配が、確かにあった。

読んでいただきありがとうございます!

今回でアキラの初ダンジョン探索1日目が完了しました。レベルアップ、スキルロールの入手、買い出しと、冒険者としての基礎が少しずつ整ってきています。次回はダンジョン2日目、いよいよ影が蠢く第一層後半へと突入します。次章タイトルは――

「スカイツリーダンジョン編:第4章 影の回廊と黒い気配」

お楽しみに!

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