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《スカイツリーダンジョン:第一層 ― 開始》

千秋たち三人は、スカイツリーの根元に出現した巨大な“門”の前に立っていた。

昨日は発生直後で一般人の立ち入りは禁止されていたが、政府主導のダンジョン管理課が最優先で安全確認を進め、翌朝には初級者でも入れる「第一層」までの探索許可が出た。


門の縁には淡い青い光が流れ、まるで呼吸するように脈動していた。

玲奈が息を飲む。


「……本物のダンジョンって、こんなに迫力あるんだ……。」

「ニュースで見たよりデカいな。こりゃ、冒険って感じだわ。」

村田隆一おじさんは腕を組み、どっしりと構えている。


千秋は胸の奥がドキドキしていた。

怖さもあるけれど、それ以上に未知への期待が大きい。


管理課の職員の説明はこうだ。


第一層は比較的安全


魔獣は弱い種類が多い


約3割の確率でアイテムを落とす


落ちるアイテムは魔石・魔獣部位・スキルロール・劣化スキルアイテム


スキルロールは希少で、2時間探索して一本見つかれば運が良い


鑑定スキルや鑑定メガネがないと中身がわからない


スキルにはアクティブとパッシブが存在し、レベルは1~5


レベルが上がるとSPが上がるが、強力なパッシブは多くのSPを消費する


そして――

千秋は最終的に“鑑定”と“最上位のアイテムボックス”を早期入手する未来がある。


今はまだ知らないが、それはこの“第一歩”から始まる。


「よし、行こっか。」

千秋が言うと、玲奈も村田おじさんも頷いた。


光の門をくぐると、視界が白く跳ね、空気が変わった。

◆ 第一層内部 ― 迷いの林道


内部は広かった。

スカイツリー内部どころか、まるで別世界。天井は曇り空のように灰色で、薄い霧がたなびいている。


「うわ……森?」

「ダンジョン内って、全部建物の中じゃないんだな。」


木々が並ぶが、どれも形が微妙に歪んでいて、色は現実よりも少し彩度が低い。

足元には舗装されたような道が続き、まるで迷路のように分岐している。


「最初は弱い魔獣が出るって聞いてるけど……どこかに……」


玲奈が辺りを見回したその時。


ギャアアアッ!


突然、木の影から飛び出したのは――

物語でよく見る“小型のゴブリン”。

しかし現実のそれは、肌は灰色で、涎を垂らしながらナイフを振りかざしてくる。


「出たッ!!」


千秋が叫ぶと同時に、村田おじさんが前に出る。


「任せとけッ!」


まだ誰もスキルは持っていない。

だが村田おじさんは昔からの武道経験があり、足さばきも拳の重さも違う。


ゴブリンが飛びかかってきた。


「おりゃッ!」


拳が一直線に叩き込まれ、ゴブリンはぐしゃっと音を立てて倒れた。


……

しばらくの沈黙。


「お、おじさん、強ッ!?」

「いやぁ、ゴブリンって意外と柔らけぇな……。」


ゴブリンは煙のように崩れ、その場に灰色の“魔石”をひとつ残した。


玲奈が拾い上げる。


「これが……魔石……?」

「うん。一番弱いやつだね。買い取り価格は数百円だったはず。」


村田おじさんは苦笑する。


「まぁ、最初はこんなもんか。」


千秋は魔石を見つめながら、胸の奥に奇妙な実感を抱いた。


(本当に……現実に“ダンジョン”ができちゃったんだな……)

◆ 小休止と探索再開


その後も三人は慎重に進み、弱い魔獣――スライムや小型コボルトなどを次々と撃破した。

ドロップは以下の通り。


魔石 × 6


ゴブリンの爪 × 1(加工職の人じゃないと使えない)


劣化スキル付きアイテム(小盾) × 1


スキルロール × 1(中身不明)


千秋が袋を眺めて呟く。


「スキルロール……一つだけか。」

「一本出ただけ十分よ。だって希少なんだし。」


玲奈が励ましてくれる。


村田おじさんはスキルロールを手袋越しに眺め、


「帰ったら鑑定してもらおう。鑑定スキル持ちもメガネも高価だしな。」


と慎重に袋へ戻した。


千秋は道を見つめながら、ある“緊張感”を意識していた。


(……まだ、ボス部屋へは向かわない。今日は初日。慣れることが第一だ。)


そう決めていた。

◆ 第一日目探索・終了


数時間歩き、二十体近い魔獣と戦った頃。

千秋の足は重く、玲奈も息が乱れている。


「そろそろ……戻ろっか。」

「そうだな。初日は身体慣らしだ。」


出口の方向に向かうと、光の門がふわりと現れる。


外へ出ると、午後の陽射しが心地よい。

外の空気は驚くほど新鮮で、肌に触れた瞬間に疲れが少し抜けていくようだった。


千秋は深呼吸しながら言った。


「ふぅ……なんとか“ダンジョン初日”クリア、だね。」

◆ 買い取り所へ


ダンジョン入り口の脇には、政府管理のダンジョン管理課・買い取りカウンターが設置されている。


職員は慣れた口調で案内した。


「魔石はこちら、部位はこちらへ。スキルロールは中身の鑑定が必要なら別料金ですが……」


三人は今日の素材をすべて提出する。


すると……


「本日の買い取り額は――

合計 28,600円 です」


玲奈が目を丸くする。


「結構するね!」

「いや、思ったより安い気がする……?」千秋

「まぁ初日はこんなもんだ。慣れればもっと稼げるさ。」村田おじさん


スキルロールは売らずに持ち帰ることにした。

◆ 宿での休息


その日の夜。

三人は近くの簡易宿泊所に部屋を借り、疲れた身体を横たえた。


千秋はベッドに沈みながら思う。


(これから何日も……このダンジョンに挑む生活が続くんだ……)


不安もある。

でも、それ以上に胸の奥で燃えるものがある。


(三人で、強くなっていくんだ。)


明日か明後日、再びダンジョンへ入る。

その前に――


今日の買い取りで食料と簡易装備を購入


鑑定メガネのレンタル予約


スキルロールの鑑定


やることはたくさんある。


千秋は目を閉じ、静かに眠りについた。

ダンジョン発生から最初の突入までを書き直し、物語のスタート地点として自然な構成に整えました。

今回のテーマは「初めての異世界との接触」です。千秋たちが一歩ずつ強くなっていく基盤がようやく始まりました。

次回はいよいよ鑑定したスキルロールの中身判明と、装備の選定、そして第二回目のダンジョン探索へ進みます。

次のタイトルは――

《スカイツリーダンジョン第二日:鑑定と初めてのスキル》

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