2話「異世界転生!?」
「うっ……んんっ……」
目が覚めた。
そして、ここは何処?と言わんばかりに周囲を見渡す。
辺りは1面白しか無く、とにかく、どこもかしこも白い。
本当にここは、私が来た「天国」なのか?
【あらあら、可愛い人間じゃのぅ……】
──えっ、もしかして誰かいる!?
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第2話 異世界転生!?
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冷静になれ、私。
周囲には誰もいなかったじゃないか。
さっき確認したばっかりだ。
真っ白な地平線にも、何も見えなかった。
だから、何かがいる訳ない!
私の空耳なんだ!
【何が、空耳だって?】
「うわっ、出たァ!?」
思わず叫んでしまった。
というか、普通だったら叫ぶって!?
【其方、妾の正体を知らぬようじゃな】
──やっぱり、この空間に私以外の誰かがいる!?
【やっぱり、人間とは面白い生き物よのぅ】
「あ、あのぅ……」
【何じゃ?】
「あのぅ、貴女って……?」
聞こえてくる声の感じからして、多分女性なんだよな……
でも、こんな空間に唯の人間がいる訳ないよな……?
【ふむ。そうじゃな……妾は其方の言う通り、唯の人間では無いな】
「──えっ!?」
【……そうじゃな、言わば『神』と呼ばれる存在かのぅ……?】
──か、神!?
つまり私はやっぱり死んで、今から閻魔様に裁かれるのでは……!?
【あぁ、其方の言う「閻魔様」では無いのぅ】
──あっ、そうなのか。
「あのぅ、私ってどうなるんですか……?」
【あぁ、その事か。それはじゃな………………ん?】
……「ん?」って何?
【そうじゃな……其方の世界の言葉は難しいのぅ……】
あっ、そういう事か。
神様が人間の言葉を理解するのって、結構難しい事なんだな……
私が英語を理解出来ないのと同じように、神様からすれば、人間の言葉は私たちの言う英語なのか……
【あぁ、この前「地球」という星に行った時に読んだ、『異世界転生』じゃ!】
「い、異世界転生〜!?」
ちょっと大袈裟に驚いた。
まさかとは思っていたが、現実になるとは……
遂にあの世界から脱して、違う世界に……!!
「えっ、つまり、私はこれから、私がいた世界とは違う世界に行くって事ですか……!?」
【そうじゃな】
「いゃったアアアアア!!」
つい、大声で喜んでしまった。
これでは、あのクラスの陽キャ共と変わらないか……
【其方にはこれから、様々な試練が訪れるじゃろう。其方には、それを乗り越える勇気はあるか?】
「はいッ!!京極夏彦、全力でやらせて頂きます!!」
【フフッ……やはり人間とは、面白い生物だ】
【さてと。それでは、異世界転生の準備があるから、少し待っておれ】
私は、神様の言う通り、その場に体育座りをした。
【………………出来たぞ】
──早ッ!?
まだ5分も経ってないよ!?
【では、妾が呪文をあとひとつ唱えれば、其方はもう異世界に転生する。最後に、聞いておく事はあるか?】
「ありません!!お願いします!!」
【そうじゃな。其方ならそう言うと思っておったわ。では、行くぞ?『数多の精霊たちよ。この妾、『創造神ファルムス』の呼び掛けに応じ、今こそその力を貸すのじゃ!!』】
おっ、来た!!
【『『光の精霊王ルーメン』、『闇の精霊王テネブラエ』、『火の精霊王イグニス』、『水の精霊王アクア』、『風の精霊王ウェントゥス』、『雷の精霊王フルメン』、『氷の精霊王グラキエース』!!其方たちの力が必要じゃ!!この者、京極夏彦に其方たちの加護を与え、護るのじゃ!!』】
……意外と長いのかな──
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シュンッという音がした時には、もう後戻りは出来なかった。
既に転生が完了していたからだ。
「おぉ、おおっ!!転生出来たぞ!!」
遂に転生出来た。
……さてと、私の新しい人生が始まった。
前世の様に、絶対に舐められ、自分が蔑まれるような人生は歩まない!!
私は、前までの私とは違う……!!
私は決意を胸に、新たな人生を歩み出したのだった。
これからの人生に、胸を高鳴らせながら。