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第四章⑦-ex(アリシア)

「また、弱いあんたと戦わないといけないの?そもそもさ、クルエスさんから話、聞いてるんだけど。歯向かう気?」


 アンジェラと呼ばれる女は私を混乱させようとしているのか、腕を組んで話し続けてている。この女がクルエスから何を吹き込まれていようが、私のやることは変わらない。そもそも、脅すつもらならもっと巧妙に話しているはずだ。クルエスはこの三人に、私との会話の内容をそこまで詳しく話していないようだ。

 アンジェラは気怠そうに腕を下ろすと、大きく溜め息をついた。


「ちっ……そのまま白旗上げてりゃ軽く捻れたのに。じゃ前と同じく魔法でやっちまうか。防ぎたいなら、好きなだけ盾で防いでな。今日は調子がいいから、盾ごと吹きとばせそうだぜ!爆直砲バースト・キャノン


 アンジェラは腕を前に突き出すと、魔法を放った。あの時の戦いと同じ攻撃ーーでも、間違いない。指先程の大きさだけれど、飛んでいる弾ははっきり見えたのだ。

 小さな金切り音を放つ弾の行方を目で追いながら、上半身の動きだけでかわす。弾は背後にあった大聖堂の窓へ直撃すると、ガラスのひび割れる音と共に、爆音が響いた。窓枠が木っ端微塵に砕け飛び、その代わりに叩きつける程の雨が建物に侵入してきた。


「……当たらなかった――いや、あんた、避けたって言うの?」


 アンジェラは驚愕の顔でこちらを見ている。彼女の攻撃は、弾の大きさこそ小さくて見辛いけれど、弾速はそこまでの速さではなかったのだ。あとは、『技能』気配察知で意識を集中させれば、弾道を見極めることは難しくなかった。

 それに、この街までの道中、"魔力なし"というハンデで近距離戦に呈してきた。得たものは戦闘技術というより、"何としてでも魔法で対抗しなければならない"という固定概念を覆すことができたことだと実感している。魔物からの近接攻撃の応酬は、受けばかりではなく躱すことも必要。何でも力で抵抗する必要はないのだと思えたことは、私にとって目から鱗だった。


「確かに避けさせてもらいました。しかし、まだ勝負がついていないことも承知しています。最後まで冷静になることが大事です」

「勝ったような顔でこっちを見るな!勝負は始まったばかりだ!」


 私は呼吸を整えると、アンジェラの元へ歩みを進めた。その一方で、アンジェラは焦っているのか、見境なくこちらへ攻撃を放つが、一度見極めてしまえば避けることは何も難しいことではなかった。


「驕りを捨てるために、あなたも私のように、魔法を使えない経験をした方がいいですよ。氷堅拳アイス・パンチ


 歩み寄る勢いのまま、私は拳をアンジェラの顔面へ叩き込んだ。その勢いで彼女は宙を一回転舞い、そのまま床に倒れ込んでしまった。


「例え勝利した相手であってもーー侮ってはいけません。勝負の鉄則です」

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