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第四章⑦-ex(ソウ)

「この前はいい塩梅に醜態晒せちまったからなぁ。今回は本気で行くぜ!さあ!来いよ!」

「……いいのか?水射銃ウォーター・フロウ

「たかが水……そのまま受け止める!」


 こいつはクリフと呼ばれる無口な男。以前戦ったときには放水しかしてこなかったことを考えると、チームの中でも援護が専門で、主戦力という訳ではないのかもしれない。前回は相性と状況で相手が上回っただけで、戦力としては俺のほうに部があるはずだ。

 楽観視をして放水を受けようと腕で顔を覆ったときーー悪寒がした。


「あっ、ちょい待ち!生身で何とかなると思ったらならない気がする!岩硬腕アームド・ロック!」


 直後、とてつもない勢いの放水が腕へ身につけた岩へ当たった。


「……生身で受けたら皮膚が引き裂かれるぞ。それに俺は見たぞ。お前の魔法で確信に至った……お前の技能は"魔法の装備"だろう?魔法自体が強力でも、身につけた後の身体能力が向上するわけではない……それでは私の攻撃の前に、防戦一方となるしかないのだ」

「――痛い所を突くな」


 クリフの言う通りだった。アリシアもハルも、いずれも技能は"身体能力の強化"だ。一方で、俺の技能は"できることが増える"スキルである。スキルレベルこそ高いが、明確な俺の弱点だった。それをたった二回の接触で見破られるとは思ってもいなかった。


「……次は別の攻撃をさせてもらおう。水点銃ウォーター・ガン


 クリフは左手を右手に添えて、指先をこちらに向けた。


「マズイ!」


 俺は横っ飛びになって大聖堂の柱の陰に隠れた。途端、クリフの放つ小さな水の弾が柱にぶつかり、石材を削り取る音が聞こえた。


「……よく見破ったな。お前の岩の鎧とて撃ち砕いていたかもしれぬと言うのに。これぞ水魔法の破壊力の極み。一点集中よ」

「よく喋る寡黙男だこって」


 いくら強がりを言おうが、このままでは、こいつの言う通り防戦一方でジリ貧なのは確実だった。俺の短所は知られていて、現にそこを突かれた攻撃を受けている。


でもさ、短所がダメでも、長所なら通用するんじゃねぇか――?


 起死回生のものを探ろうと辺りを見渡したら、いいものが存在していることに気が付いた。


これなら試してみる価値はあるハズだ――


「どわっ!」


 受けていた背後の柱が衝撃で破壊された。砕けた柱の向こうにはクリフが見える。 


「……隠れる場所はもうない。これで終わりだ。言い残すことは?」

「ないね!こんな雑魚戦じゃ負けてられねぇんでな!砂水流鎧サンド・アーマー・ウォーターコート


 瞬間的に魔法を唱え、全身を砂で覆った。さらに、さっきからクリフが放っている水魔法、それによる水たまりから水を吸い上げたのだ。


「砂の強度をあんたの水で補完する……協力ありがとうな」

「……は、笑わせる。そんなことでたかが砂の強度が上がるわけないだろ」


 そう笑うクリフが水の弾を俺に向けて放ったーーが、腹部の砂は勢いを吸収して、何事もなかったように振る舞った。


「……そんな、馬鹿な」

「これが俺の技能の長所。応用力がピカ一。侮っちゃいけませんぜ!」


 俺は、のしのしとクリフへ近づくと、呆然として動けなかったクリフへ、高強度の砂で纏った腕を振り上げた。クリフはそれを無防備に受けると、大きく吹き飛びんで地面を転がりーーそして沈黙した。


「あんた、洞察力は鋭かったけど、スキルも応用力も俺のほうが上だったな。今までの生き方の違いってやつが滲み出ちまった。まさに泥臭い人生ってやつが」

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