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第二の障害 海賊と遭遇して命の危機Ⅱ 航海編

命からがら暴風雨から逃げのびたクリスティア達は海賊船の攻撃が待ち受けていた。

実戦は初めての団員達、命知らずの海賊とどう戦うのか?


部屋で防御装具をつけている時だった。


いきなり左斜めにガタッと急激に傾いたと思ったら思い切り身体を持っていかれる。


寝台の天蓋を張る細い円柱が目に飛び込んできて、すぐに掴んで握りしめた。

間一髪で転倒を回避出来る。


皆は?

いそいで甲板に出ると、船員達は一同に定位置で身体を固定させて振り払われないように命綱をつけていた。


順番にジョルジュ、カミーユ、エレーヌが斜めになりながら駆け出してくる。


髪や服装が皆乱れて息をきらせながらやってきた。


「クリスティナ!」


感情を高ぶらせてエレーヌが私を抱きしめる。

大げさなんだから。


「クスッ」


笑ってしまう。


ジョルジュは状況が読み切れず、誰かを探しているように辺を見渡すがそれより驚愕したのが。


景色だ。


なんなのこの濃霧は?


この光景を理解しようと大きく目を開けるも頭と身体の状況認識の落差が天と地ほど違いただ見るという事しか皆出来ないでいた。


皆の顔を合わせる確認出来た後に、突然霧が魔法のように現れて世界を白くしてしまっていたのだ。


視界は極端に悪いく自分の足元しか見えない。


「団長!みんな!

 海賊船を避けるために濃霧に入った!

 但しこれから一気に海賊船に横着けしたら一斉攻

 撃だ!

 わかったな!」


ラインハルトの声だ。


「わかった。

 でもなんで霧の中?」


カミーユが冷静に聞く。


「海賊船の大砲をうけない為だ。

 あれはえぐい。

 うちはひとたまりもない。

 接近戦ならなんとかなるからな。

 とにかく命がけだと思ってくれよ」


ラインハルトの声からかなりの危険が伴うというのがわかる。


自由とは責任が伴うんだ。

自分に対して。


エレーヌとしっかり手を握り合い。

お互いを奮い立たせる。


やってこい!!

やるしかない!


真っ白な世界をどのくらい進んできたろうか?

静かな波の音しか聞こえない。


鳥さえいない。

沈黙の海。

その無音が恐ろしい怪物の登場を予感させて心が、足が、手が、胸が震える。

挿絵(By みてみん)


有機物はいないといわんばかりの世界が永遠に続きそう。

いたたまれない針で身体中を刺されてるような、なんともいえない緊張感に懸命に耐える。


「さぁ。

 そろそろ抜けるよ」


船長が叫ぶ!


と!予告もなく。

突然風景が一新した。


一瞬にして違う次元に移動した。

もしくはあの光景が夢だったかもとさえ思った、


それは突然、唐突、生成そんな言葉を通り越した。


黒い海賊船と並んで走行している。


大きさは同じくらいか?


しかし海賊船の痛みは激しい。


「戦闘準備だ!いくぞ!!!」


ラインハルトが剣を上げて、大声で激を飛ばして士気を揚げる。


二つの船は睨み合い両者を威嚇する。


船員達はすでに戦闘態勢で、準備万全だった。


マストの上では弓矢隊がすでに矢を放っている。


ビュゥーン ビュゥーン ビュゥーン ビュゥーン ビュゥーン


甲高い弓音が耳を刺す。弓矢が放たれた。


スコールの黒い雨の様に放物線を描いて、矢が次々と海賊船に投げ込まれる。


ブスッ! ブスッ! ブスッ!


カーン! カーンカン カーン! カーンカンカーン! カーンカン 


何かに当たる音が。

連打!。連打!。連打!。


命中したかどうかまではわからないが矢が刺さった音が四重唱の様に響き渡る。


マストの下段では銃隊が銃口を海賊船に向け、引き金に指を掛けて一気に連射。


パン!パンッ!! パン!パンッ!! パン!パンッ!! パン!パンッ!!


ギャ~~~‼  ワーアァ ギャ~~~‼  


ワーアァ ギャ~~~‼  ワーアァ


海賊船から無数の叫び声が聞こえてきている。


命中してるようだ。


甲板では船員が手榴弾を海賊船に投げ込んでいる。


ドッカーン!! ドッカーン!!ドッカーン!!  


ドッカーン!! ドッカーン!! ドッカーン!!


紅蓮の炎が道ずれとばかりに海賊の身体を焼き尽し、奴らは床にのたうち回っている。

あまりの熱さにそのまま海にダイブする者さえいた。


「ギャ~~~‼ 」


「 ワーアァ ギャ~~~‼ 」 


「ワーアァ ギャ~~~‼  ワーアァ」


爆破音と断末魔の叫びがが鳴り止まない。

この世の地獄とはよく表現されるがまさにこの光景はそれに相応しい情景だ。


まさかの私達の船の出現に荒くれた男達が、右往左往して大混乱しているのがよくわかった。


「皆気を緩めるな!

 あいつら人間じゃないからな!!

 徹底的に潰せ!!」


ラインハルトが更に激を強める。


恐怖が脳天を突き抜ける。

感じた事のないそれは背筋を、身体を、心を凍りつかせる。


駄目駄目!


まだよ。

まだ。


私達は四人固まり、円状になり背後を守る。

ラインハルトは念の為腕のたつ兵士をつけてくれている。


これからよ。


そのうち隣の海賊船の乗組員達も冷静さを取り戻し始めているのを足音と剣さばきでわかってきた。


少しずつ少しずつ、海賊達がこちらの船に跨いで乗り込み始めようとしていた。


始まる。

始まる。


ダンッ!ダンダンッ!


海賊が勢いよく助走をつけ大股で飛びつく。


バン!バンバン!!


あっという間に私達の船に着地。


ビューン


何かが撓る(しなる)音が聞こえる。


縄に飛びついた反動で海賊が一回転して飛び込んでくる。


バン!バン!


目つきの悪い、屈強な、殺気を漲らせて武器を持った男達。

私達の船に乗り返る海賊たちの数はドンドンドンドンと増えてくる。


連中の位置と私達の位置は少しずつせまっている。

すでに戦闘が始まっていた。


弓矢隊は攻撃を止めてマストからマストへ。

まるで森の小さな生き物が木々を飛び回る如く。


軽やかに命綱一本で回転しデッキに着地した。


「よし!弓矢隊。構え!」


弓矢隊長は短銃を取り出し、銃口を海賊にむける、


引き金を引く。


パンッ バンパンッ  パンッ バンパンッ パンッ バンパンッ


バンバンッ!


指に銃弾の飛び出す反動が手に伝わる。


後に火薬の匂いが鼻につく。


確実に海賊の胸を、足を、銃弾が突き抜ける。


青い空に血吹雪が舞い散る。まるで花弁が散っているかのように。


玉が当たる度、海賊は大きくのけ反って身体を床につける。


そこを剣を手にした船員が一撃を食らわして絶命させる。


下手に生かしたら返って命とりだ。


グッワァ!  グッワァ!


グッグッ!


ギャア!  ギャア!  ギャア! 


断末魔の雄叫びが絶え間なく聞こえる。


銃部隊もその銃口を鋭い刀に変えてデッキへ。

甲板へ。

少部隊を組んで加勢する。


キン!キンッ! キン!キンッ!  キン!キンッ!


刀が擦れる音。


キーンキーン!!


空を叩き切るように鳴る金属音。


互いの剣は空を裂き、死の風を起こして乱舞する。


一切の無駄な動きがない恍惚な儀式の如くそれは粛々と行われる。

正確に、なんの躊躇もない。


血吹雪があちこちで舞散っていた。


美しいわ。

こんな時に相応しくないけど。

 


あ!あっ!


私が客観的に戦いを見ていたのはここまでだ。


私達のデッキにも海賊達が侵入してきた。


女二人と男四人を舐めまわすように四人の海賊が私達を見ている。

獲物を見つけた黒豹のように照準を合わせた。


「嬢ちゃん達。

 上玉だな。

 持ち帰って楽しんでから、売りとばそう。

 高く売れるぞ」


 「おゥ~」


ニタニタッ ニタニタ。


嫌な笑いだ。大嫌いっな!!


キレた!!


まずはジョルジュとカミーユが立ちはだかる。



ラインハルトは??


遂にクリスティアの元に荒くれ者の海賊達が立ちはだかる。

絶体絶命の中どう切り抜けるのか?

クリスティア達の命は?

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