表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/91

第六の障害 薄幸の伯爵令嬢と秘密の皇子Ⅸ アフェルキア公国編

エレーヌとエルトの関係が接近する中、ラインハルトは近郊の街で偶然にも義弟リュドリュックを見つけて後をつけると……。


「何でこんな所にあいつがいるんだ?」


人混みに紛れそこにいる人物にラインハルトは自分の目を疑った。

グレーの外套を着て隠してはいるが、浅黒い焼けた肌ギラギラと刺すような鋭い黒い瞳と漆黒の闇の様な髪には心当たりがあった。


リュドリュックだ。

リュドリュック達エメラディーヌ商団は以前アフェルキア公国内で不正取引をした事がバレ、入国禁止の処置を受けているから正規で入国するのは不可能だった。


あいつ偽装出入国証で入ったな。

それほどの事をして入国した訳があるはずだ。

これは!!


ラインハルトは面倒臭いと思いながら、クリスティアとエレーヌに言われた品の調達の為に近郊の町を訪れていた。

その町で出会ったのは義弟だ。


挿絵(By みてみん)

旧市街の人の出入りが激しい場所で見かけるはずのない人物だったので更に違和感が増す。

いいようのない嫌な予感が頭を過る。

あいつら何をやるつもりだ?


とっさに身体が反応し、なんとか人混みを掻き分けてリュドリュックが入っていった裏路地へと足早に追いかける。


一歩入った通りは細く蛇行して続いている。途中様々な脇道が広がっている迷路のような地区で、まるで彼奴と俺の関係のようだと瞳は霞に曇る。


リュドュックはやや早足で歩いていく。

感づかれないように迷わぬように一定の距離を保って尾行した。


何をしに来たんだ? 


必死で逃がすまいとリュドュックの時折後ろを振り返る素振りに反応し、荷物の影や路地の角に身体を隠して追跡した。


その蛇行した小道を左折した先に、ようやくリュドリュックは一軒の宿の前で足を止めてた。

キョロキョロと周りを見渡し、サッとその中に消えていった。


宿?


挿絵(By みてみん)

三階建ての木造りの入り組んだ場所にある為ひっそりと建っている。

いくつかの窓は開けられていて、リュドリュックがどの部屋に入るのかはまったくわからない。

宿から死角になる場所を探して隠れて様子を伺う事にする。


しばらくして、三階の開けられた窓の室内の様子があわだたしいのに気がつく。


「あそこか?」


目線をその窓へと移して、注意深く様子を伺う。

人の声もわずかだが聞こえる。

つまり複数人が部屋にいるようだった。


ラインハルトは宿の周囲を見渡して、丁度部屋の傍に大木があるのを見つける。

しかも三階の部屋の位置に太い枝が生えている。


すばやく移動して、木によじ登り三階の部屋の様子を伺う。


やや斜め上の位置だが、声は十分聞こえる範囲だった。


「……で具体的にどうする?」


リュドリュックの声だ。


「そろそろ時期だ……。

 砦の警備が手薄なのはやはり夜だ。

 昼間は出入りの業者が出入りの激しい紐あるが、

 やはり発覚した後の対処が早い。

 万が一掴まればかなり危険だ。」


聞いた事のあるようなないような男の声だった。


「フェレへの航路は確保している。

 追跡されないように万全の態勢でフェレの同盟国

 を経由しながら本国へ輸送する。

 当日は例の場所で落ち合いましょう。

 それまでミイラ取りがミイラにならないでくださ

 いな殿下」


エメラディーヌの皮肉たっぷりの声だ。


「それ…なんだ?

 ムカつくな」


イラッとした男の声が響く。

イラついたと同時にその男の声に微妙な揺れを感じる。


「砦を抜け出せたら後はこちらの……」


リュドリュックが言いかけた時だった。

声が途端に聞こえなくなった異変に、思わず用心し身体を移動させ裏側に回り込んだ。


ガチャッ!


開いている窓を更に押しのけて全開にすると、窓からリュドリュックが窓から身体を乗り出すように顔を大木の方へ向けたのだ。


丁度ラインハルトの身体を覆い隠せるほどの大木で見つからず助かった。


「Pe~~~~ruru ……kururu」


訓練でも野鳥の鳴き声を模倣する訓練もしていたので鳴き声を真似てみせた。 

バタバタッッ!


運よく見えない距離で鳥が羽ばたいて空へと飛び立った。


リュドリュックはほっと息をつき胸を撫でおろして窓を閉めてカーテンを掛けた。


「あいつら砦?抜け出す?誰が?

 何をしようとしているんだ?

 絶対何か企んでる。

 あれは何を企んでるんだ?」


ラインハルトは旧市街を離れヴィラへ戻ってから落ち着いて考えると決めて町を離れた。



**********************************************




ヴィラへ戻り自分の部屋で一人今日の出来事を整理するラインハルトは蝋燭の灯りをたよりに紙とペンを手に書き綴った。


でどうする?ってやつらは言っていたか?

思い出しながら。

間違いがないくらいに慎重に思い出す。


 そろそろ時期だ……。

 砦の警備が手薄なのはやはり夜だ。

 昼間は出入りの業者が出入りの激しい紐あるが、 やはり発覚した後の対処が早い。

 万が一掴まればかなり危険だ


フェレへの航路は確保している。

追跡されないように万全の態勢でフェレの同盟国を経由しながら本国へ輸送する。

当日は例の場所で落ち合いましょう。

それまでミイラ取りがミイラにならないでね


それ…なんだ

砦を抜け出せたら後はこちらの………。


箇条書きにし頭で改め話を整理する。


そろそろ時期→計画の実行日は近い

航路アフェルキアを出る→フェレへ向かう

ミイラ取りがミイラに?→誰かを誰かが嵌めるか利用する?

夜砦を抜け出す→逃走?

砦がその場所→砦はどこだ?


「つまり砦から何か誰か?

 を何かをフェレへと移動させるという事は間違い

 ないか」


誰か?

いや。

この場合はほぼ間違いなく特定の誰かで。

場所は間違いなくあの砦にいる誰かだ。

エレーヌが出入りしてる北部の砦だな。

どう考えても。


そして奴らの中では聞き覚えのない声だが、まったく聴いた事のない声ではない。


さあ誰だ。

誰の可能性が高い?

いやそもそも??


ぞわぞわする胸の奥の強いざわめきは消えないどころか、更に渦を巻いてラインハルトを突き動かす。


これは……。


ラインハルトは急ぎ伝書鳩で贔屓にしている影のギルト集団に連絡を取り仕事を依頼する。

当然エメラディーヌ達の監視と報告を依頼したのだ。

その後クリスティアの部屋を秘密裏に訪問する事にした。



深夜ヴィラはまるで世界にこの空間しかないように静まりかえっている。


今夜は珍しくエレーヌが隣の部屋を使って寝ている。

丁度よかったが何でだ?


疑問も残る。

あの二人双子か?と思うほどいつも一緒なのに。 


エレーヌが砦でピクニックすると行って帰ってきた夕食時に一人で寝たいと言い出した。 


なんだ?

気まぐれお嬢様?

わかんない年頃だな。


薄暗い廊下の先にクリスティアの部屋のドアを叩く。


反応はない。

少し間を置いて、再び叩く。


シ〜と静まり返ってまったく反応がない。


鍵がかかってないかもしれないとドアノブを回してみる。


ガチャ。


「開いた。

 不用心だな」


ラインハルトはそっと部屋に身体を滑り込ませる。


月明かりが窓辺から差して寝台を照らしている。


ラインハルトは寝台に近づくとクリスティアはすやすや寝ている。


寝ていたら可愛らしいのになぁ。

しゃべっていると本当に煩いのになあぁ。


ラインハルトは苦笑してしまう。


クリスティアを起こそうと耳元で囁く。


「クリスティア。

 クリスティア起きてくれ!

 団長!」


クリスティアは頭を左右に振り、その声に反応し瞼が開く。


瞳の瞳孔が開く。

暗がりの中人影が!

突然目の前にいるのだ!


上半身を起こすと叫び声を出す。


「キャ!」


ラインハルトを反射的に突き落とす。


バランスを崩すがなんとか踏みとどまってなんとか立っている。


「クリスティア!

 俺だ」


「え??

 ラインハルト?」


クリスティアは我にかえりラインハルトを認識したが、すぐに怪訝そうな表情を浮かべラインハルトを睨みつけた。


眉間に皺を寄せて言った。


「ラインハルト。

 いくらなんでも、相手の気持ちを確かめてから。

 なんでいきなり夜這いなのよ!

 もお~~~~」


ラインハルトは目を丸くして、次の瞬間海よりも深いため息をついたかと思うと、不服そうに腕を組んで言った。


「なんで団長を襲うんだよ。

 勘弁してくれよ!

 こっちが願い下げだ。

 ガキに興味がない」


「じゃあ。

 なんの用よ!

 女の部屋に深夜こっそりくるなんて。

 夜這い以外考えられないわ」


クリスティアの声が怒りで裏返る。


「ああっ。

 実は……まずい事になってる。

 皆に聞かれると困るのでな…」


寝台に椅子を近づけて深く腰を下ろし座る。


ラインハルトの報告はクリスティアの予想をはるかに超える内容だった。

夜這いの方がわかりやすく対処も簡単だったかもしれない。


暗がりの中ラインハルトはクリスティアに今わかる内容を報告した。


聞いたクリスティアの瞳は瞳孔が開き切る。


「えっ?

 なんですって??」


あまりの報告に睡魔などどこか去っていった。





エメラディーヌ達が良からぬ計画を察知したラインハルトはクリスティアに報告して。

さあどうするのか?

ディエッドゥは?エレーヌは?エルンストは?

次回クライマックスに向けて動き始めます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ