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第一の障害 私達無事に上陸出来るの?暴風雨 航海編 

クリスティーネ・ルナティア皇女が率いる商団の幹部が勢ぞろいした船上の初会議が終わり。

穏やかだった海が突然嵐に見舞われ、クリスティア達に船酔いが襲う!

大丈夫か海の藻屑と化すのか?


「嵐が来そうだから。準備してくよ。

 かなりやばい」


その日船員歴の長い乗組員の一言を耳にしても私はまったく切迫感は出てこない。


なにより真っ青な雲一つない空なのに。

なんで暴風雨?


指を向けて私達に言ったその一言は実感は0だ。


「えっ??」


「帆を閉じろ!

 碇をおろすぜ!」


船長の激が飛ぶ。


私達四人は疑問符が付いた顔を見合わせて呆然とする。

だって本当に雲もない太陽は燦々と降り注ぎそんな素振りはない。


????頭の中がスパイラル状態。


ところが。ところがだ。


一半時ほどすると段々と雲が多くなり始め風が強くなった。

挿絵(By みてみん)

その雲もドス黒い濃い灰色になり始めて、ずっと奥に空からまるでバケツをひっくり返したような雨が降っている箇所がこちらに近づいてきていた。


「何あのスコールは?」



「団長達は部屋でいてくれ。

 ぎゃあぎゃあ騒がれたら面倒だ!!」


とにもかくにも船員歴の長いベテラン船長が言うのだから言う通りにするしかない。


頭は現実に追っつかないが、言われた通りに。

航海歴があるラインハルトだけは船長の補佐にまわるためにデッキに残る。


私とエレーヌはさすがに怖いので、一緒に私の部屋で大人しくすることにした。


しかし本当の地獄はこれからだと間もなく知る。


部屋の調度品は固定されているので問題ないが、波が高いせいでかなり上下に部屋が揺れる。


そう身体の内蔵が全部持っていかれそうになるほどの上下運動だ。

窓から空と海の境界線が完全に破壊され、窓から海の水がバシャバシャかかっているかと思うとどんよりと濁っ黒い汚水の様な空が見えた。


目が廻る。そう目が廻る。


グルグルグルグル~~~~吐く~~~。


もう気持ち悪いのなんのって。


たらいを持って二人でげ~~げ~~。


しかも揺れでその嘔吐物がそこらへんにばらまかれて部屋中異臭がする。

その異臭が更に吐き気を誘う。


もう~~あとはただただ吐き気のリピートとリリースだ。


吐き気は酷くなるばかりでもう真っ暗なのに睡魔はまったく訪れない。


ただただ緊張と死からの恐怖だけが脳裏にこびりついてくる。


唯一の慰めは二人でいれた事だろう。

これを一人で乗り切るなんて発狂して何をしでかすかわからない自信がある。


「うえぇ~~~~~うえぇ~~~~」


「うえぇ~~~~~うえぇ~~~~」


可笑しくない二人でまるで吐き気の合唱とばかりにエヅク。

もうなんにもでてこない胃液だけが出て喉の奥が痛い。

吐きすぎて喉が痛い。痛いよ!!!喉が!!


「死ぬのいやだ!!」


「助けて!いや!!」


二人でギャンギャン泣き叫ぶ。


あぁ~お母様~~~~お父様~~~~~~ 


思わず叫びそうになった。

自分から捨てたはずなのになんて勝手な私……。


挿絵(By みてみん)


部屋の中で私達が吐いてボロボロになってる間、船員達はまさに命がけで船を絶妙なバランスで操っていた。

私は見てはいないが。


「ラインハルト。舵を固定するのを助けてくれ!」 


雨のせいで全身ずぶ濡れの船長とラインハルト二人舵を握りもっていかれないようにする。

大の男のかなり屈強な二人が何とかギリギリの所で踏ん張って舵を安定させている。

飴に汗にまみれながら必死に強烈な強い力に抗う。


他の船員は海からなだれ込む海水をくみ上げたり、被害の少ない荷物を海へ投げ捨てる。

重さを軽減するためだ。

嵐の際に前もってほおりなげていい荷を予め選別していたのが功を奏した。


皆命綱一つで命をいとわずに踏ん張って、海に引きずり込まれそうになるのを皆で必死に介助する。


私はこの光景を見ていたわけではないが…。

御免なさいふがいない団長で!!



六時間以上の時間を嵐と格闘して、ようやく雨風がおさまり始めてなんとか暴風雨エリアを通過する事が出来たようだった。


上下運動から解放された私とエレーヌは放心状態でベットの上に倒れこむ。


私達はようやく緊張と恐怖から解放されたもののまだ気持ち悪さが続いているので、寝台に身体をあずける。


しばらくしたら元気になったらスープが飲みたい。

あったかい。心温まる。

優しいスープが。



私の考え甘かったわ。


船員達が踏ん張ってくれなかったらここではなくて、海の中で誰にも知られず本当に死んでしまったかも。


あぁ〜それに都合のいい時だけ、お母様お父様を頼るなんて……。


冒険って本や人の体験談だけでは現実はわからないのね。


私ってまだまだだわ。情けない。



頭はそんな自己嫌悪に支配されつつあったが、そう思っているうちにドンドン睡魔がやってきた。


ああ~~~~~~。エレーヌと抱き合いながら、寝室の二人の寝息が絡み合う。



無事に一夜を過ごせた夜に沈んだ。

荒れ狂う暴風雨に投げ出されたクリスティアの帆船を襲った後に次回は海賊が登場して!!

しかもその海賊のキャプテンはラインハルトと関係が?

次号はバトル戦がメインになります。



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