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第一の障害 初めまして 私が剛腕凄腕女団長クリスティアです 航海編

無事に帝国を死亡を偽装して脱出したクリスティーネ・ルナティア皇女が別人になりすまし、団商の団長クリスティアとして船に乗り外国を目指す未知の世界へ。


私達に向けて大声で叫んだのは商団の財務担当のカミーユだった。


「は~~い。

 カミーユ今行くわ~~」


私はエレーヌと腕を組んでまるでこれから授業に向かう学生の気分で、めんどくさそうにおたおたとラインハルトが後ろをついてくる。


船内に入り、突き当りの私の部屋の右手が会議室だ。


諜報員を警戒して防音装置付きにしている。

広さはいらないから、狭い部屋に細長の机と椅子が並べてあるだけの部屋は殺風景だ。


まぁ会議するだけの部屋だから華美な装飾や調度品は必要ない。


扉を開けるとすでにカミーユと情報収集担当のジョルジュがすでに席についていた。


「お待たせ 皆さん」


私は弾んだ声であいさつして椅子を勢いよく引いてからドカッと座る。

宮殿でこんな事したら一発アウトで、お母様のお小言を誘発するだけだったから、こんな動作も嬉しい。


あぁ~~自由だ今の私。


隣のエレーヌは対照的に風雅に静かに座り、ラインハルトは椅子を音をたてながら荒っぽく引いて、腕組して足を組んでつまらなさそうにそっぽを向いた。


はいはい嫌いなんですね。

デスクワーク。


カミーユはカミーユで口が半開きで「うざいよ」と言わんばかりの表情で私達を見ている。


カミーユは男性のわりに白い肌、きちんと整えられた短髪の艶のある黒髪で、冷静沈着さと細い目元に少し神経質さが出てるけど財務では長所だからいいとして。


うざかろうが無理やり羽交い絞めにしてでも団員につなぎ止めます。


「クリスティナ団長。

 初めまして財務担当のカミーユ・ダルジャンです。

 嬉しいのはわかりますが。

 問題は山積ですよ。

 今積んでいる荷と私達のほしい品が取引出来るか

 はあっち次第です。

 交渉が決裂すると次の買い手を見つけないと経費

 ばかりがかさみます。

 それと脱出計画で多額の経費を使いましたので。

 これからは経費節減でお願いしますね!」


語尾をやたら大きな声で協調する物言い。


はいはい。

わかってますよ。


開発費にどんだけかけたかわ。

私が一番わかってます。

これから回収しますから許してね。カミーユ!!


カミーユの財務能力は非常に高くて有能です。

このお小言がなければ尚可なのだけど。


「は~い わかってま~す」


はいはい。

遊びでないのはわかっていますよ。


大真面目に答えたつもりだったけど、この返事がカミーユの頭にカチンときたようだ。


つかさず激が飛ぶ。


「クリスティア団長!

 わかってます?

 お金ないと団長のしたい事出来ないんですよ!」


「わかってる。わかってる。

 はいはい。了解です」


聞いていた通りの堅物ぶりっ。

でも出来る男なので我慢します。


とにかくこういう時に反抗しないのが得細工です。

うんうんと私は懸命に頷く。



「財務のカミーユがいてくれるから。ねっ。助かっ

 てます。

 わかってますよカミーユ殿。

 ありがと~~~」


この末っ子得意技のよいしょで乗り切ろう。

面倒くさいけどここは乗り切らないと先がない。


「初めましてジョルジュ・ディア・モーヴァルです。

 上陸したらあっちと商談の打ち合わせを予定して

 います。

 頼りによると手ごたえは悪くない。

 仲介業者と直接取引してから現地訪問しましょ

 う。

 渡はつけています」


ジョルジュの心強い言葉は私達の前途が明るく良いものだと思う。


「ディア」は貴族の証で苗字と名前の間に必ずはいる敬称。


女神ディアから由来します。


そうジョルジュは貴族の子息です。

私はまだ宮廷デビューしていないので彼は私の顔を知らないはず。

だと思う。


ライトブルーの瞳に明るいブロンドの髪、優美な仕草と振る舞いはさすがに貴族らしい品がある。

しかし同時にいいようない影のような雰囲気も感じる。

何が?と言われると困るけど。


「今の所順調ね。

 よかったわ。

 今までありがとう。これからも宜しくね」


私はこの団員達に感謝の意を示す。


「じゃあ会議はこんくらいで。 

 俺は部屋に戻るな」


ラインハルトはそう言うと椅子を引いて、不愛想な様子で部屋を去っていった。


「あ~~ぁ。デスクワーク系嫌みたいだね」


ラインハルトが去った後、カミーユがぼそりと言った。


「クリスティア団長。なんで急に現れたんです?

 この五年間私らは団長の存在は非公開で。

 それが船に乗り込んだ途端登場って?

 団長なにしてた人?

 まだ若いよね?かなり。」


カミーユが知らないのも無理はない。


私の正体を知るのはラインハルトとエレーヌだけだ。


十歳の時エレーヌに相談してエレーヌの家の執事長が今のラインハルトの父親で。

息子であるラインハルトを紹介された。


当時エレーヌの境遇を常に心配していた執事は主人に内緒で紹介したのだ。


ラインハルトは平民だったけど大学院まで通い、しかも剣の腕もたち文武両道加えてイケメンだった。

エレーヌが二十五歳のラインハルトに貿易の仕事を依頼したのが商団の発足の始まりだった。


最初は私は金だけ出し出資して、主にラインハルトが実質経営していた。


年を追うごとに規模を大きくなって本格的にエレーヌが経営に参加した。

今のうちの人材はその時からスカウトしていったメンバー達だ。

経営以外にも従業員や情報提供者、船員、兵士、護衛等人材にも恵まれ大商団に成長したんです。


ここでまさか皇女ですと名乗り出る事は難しい。


いろいろと面倒に巻き込まれないとは言えないから。

皆を信用していない訳ではないけど背負う物が大きすぎてなかなか言い出せない。


「えっと。本業が忙しくて……。ようやくめどがた

 ったので。

 こっちメインでといきます。

 よろしくね」


カミーユとジョルジュはお互い顔を見合わせ、納得いっていないといわんばかりに目を細め合っている。そしてお前がもっと聞けよと言わんばかり、言葉を発せず相手を目くばせしながら怪訝そうにいた。


はいはいそうでしょう。

私も無理な解説だと思います。


でも仕方ないでしょう。

しょぱなから言えないでしょう。

とにかく隠れているようなものだし。

バレたら即連れ去られますので。


「じゃあ。これからも宜しくね」


不自然に会話を打ち切る様に会議室を出ていく。

急ぎ足で!逃げるが勝!!


残された三人は唖然と空気が張り詰めた。


しばらくしてエレーヌが口を開く。


「まあ。いろいろあるわけよ。私達全員」


「まあな」


ジョルジュが納得したように言って頭を下に向ける。


「まあそうだな」


カミーユも問い詰めたいが今ではないと認識して黙り込んだ。


エレーヌは空気が針のようにチクチクさす感覚を味わされている。


はあ~~もう少しうまくやってください。クリスティア団長。

心の中で叫んだエレーヌだった。











商団幹部と発会合のクリスティアを待ち受けたのはなんと暴風雨!

第一の障害が襲う。どう乗り切るのでしょうか?

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