第四の障害 甘い果実と甘い罠 Ⅸ オルファン帝国編
ルディから送られてきた女神ディアの怒りの果実についてクリスティア達は調査する目的で図書館にやってきた。そこでこの果実の秘密や謎を知る事になる。
「どこにあるのかしら?
神話関係の書物はこの辺りと聞いていたのに」
高い天井に両脇に本棚がずらりと並び所々に登り階段があり、上層部へ移動できるように配慮されている。
おぼしき書物を物色するが、大陸の共通言語で書かれたエルディア語のディアス関係の書物が少なかった。
「私はあんまりオルファン語が得意ではないから。
マルグリットまかしたからね」
語学の授業はさぼりがちだった。
オルファン語って読み書き難しいのよね。
会話はならかろうじてできるけど。
「僕には?」
つかさずニタニタして白い歯を見せて笑うフレディが言った。
「勿論。まかせたわよフレディ」
これでもかと、ありったけの微笑みをフレディに注ぐ。
フレディは得意げに胸を叩いて任せておけという仕草はあまりに可愛すぎて吹き出しそうになるのを必死で我慢する。
彼の自尊心を傷つけてはいけない。
オルファン帝国の大神殿附属の図書館には国内国外問わず一般人に公開されておりほとんどの神書が保管閲覧できる。
私達は薄暗い図書館内の本棚に夢中でヒントになりそうな本を言われるままにかたっぱしらから取り出す。
マルグリットの選択した書物は次のものだった。
机に積み重ねる。
「オルファン帝国の神話史」
「女神ディアの信仰史」
「女神ディアの誕生」
「エルディア叙事詩」
「ディアとジークフリードの悲恋」
「エルディア大陸の神話」
「女神ディアの奇跡」
「女神ディアの祝福」
マルグリットは一冊ずつ読み進める。
まずマルグリットが概要を私達に解説しながら、女神の果実の確認を行う事にした。
「大体の記述としてはオルファンの神話史関連の書物にはジークフリートを殺されたディアの悲しみの涙が地に落ちて、ディアスの芽が誕生したとかかれてあるみたいね」
「つまりディアスは一つ?」
「……そうね。怒りの果実についてはそもそも触れていないわね。
まあジークフリードを殺した人類のいわば子孫だからわざわざ書かないのはわかるわね」
マルグリットが呆れた様子でぼそりと呟いた。
他の書物は概要の一部に記述はあるものの概ね同じだった。
ただやはり叙事詩とディアとジークフリートの悲恋にはそれなりに詳しく描かれていた。
「ジークフリートが嫉妬から人間に殺されたと知ったディアは悲しみのあまり右目から涙を。左目から殺した人間たちへの怒りの血の涙を流した。
女神の右から流した涙が地についた後に芽が生まれ。
左から流した涙が地についた後に无芽が生まれた。
それぞれ大木になり年に一度たわわに実る。
右目の涙から生まれたのは女神の果実、
左目の涙から生まれたのは女神の怒りの果実と呼ばれた。
女神の果実は乾季の良き水分になるだけでなく、栄養価、甘さ、味共にオルファンの特産になった。
女神の怒りの果実は神経毒を持ち、食用すると神経障害をもたらし、場合によっては死をもたらす果実として知られている。
神話ではこの怒りの果実を使って悪しき人物が退治されたり、悪行を重ねた人間に制裁する処刑方法で使用された話が伝承されているわね。
こんな感じで書かれているわね。どれも……フレディーが言っていた話と一致するわね。
でも怒りの果実の口づけなんて記述はないわね。
修道院院長様の自作?」
「この悲恋物語が広まって女神の果実、怒りの果実に二つのディアスが存在している認識なのかしらね」
エレーヌが疑問とも確信ともどちらとも言い難いと言わんばかりにぼそりと言った。
「私どうしても気になるの。
あの時にルディが。
あの農園主が言った一言が
君が欲しいのは本物のディアスか?」
「本物ののね…」
「確かに気になるいいまわしよね」
二人神話からの捜索はすぐにゆきずまった。
「はぁ~~素人の私達が調べるには難しいのかしらね」
「ん~~さしずめそんなに重要なヒントはないわね」
諦めムードなエレーヌが上半身をのけぞった時だった。
「クリスティア~~~」
フレディーの元気な声が私達の机めがけて突進してくる。
「こら!
フレディー大きな声ださないの!」
エレーヌがフレディーの耳を引っ張った。
「いったいよ!!
わかったよ。
でもね子供用の童話書籍棚に僕が読んでもらったお話の本があったんだよ。
優しかった院長様のご本なんだ。
僕一番好き。自分で読めるようになるなんて嬉しい!」
その小さな手に大きな子供用の書物を大切に抱きしめて、僕すごいだろうオーラ全開でいるフレディーにまたも笑いそうになる。
「ありがとフレディー」
頭を撫でて労をねぎらう。
紺色の絹の表表紙に金の刺繍が唐草文様が装飾されている。子供に読み聞かせるために作られたのだろう。手にしただけで愛情が伝わる気がする。
「女神ディアの祝福の果実」と銀糸で題の装飾されている。
「作者は?」
ふっと目をやると。衝撃が走る。
「シャルロッテ・ディア・クレメンツ!?」
思わず私大声が出た。
「し~~~~!」
フレディーにも人射指を口元に当てられた。
「マルグリット!
これ現皇帝陛下の六番目の元皇后陛下のシャルロッテ・ディア・クレメンツ?
後の修道院院長になって確か数年前に死去されているわよね」
「ええ。そうね二年前ときいているわ。
確かその慈愛と献身で国葬になり、去年聖人の一人に大神殿に埋葬されたと聞いているわ」
こんな因縁てある?
そうお姉様の旦那様つまり私の義理の兄の元奥様がこの作者だというのだ。
こんな偶然って?
いやいや必然かもしれないわ。
その表表紙を開けた時に目に留まる。
「この書物を真のディアスを探し求めた者に捧げる」
また真のディアス?
謎解き問題にしても難問だわ。
綺麗な印刷の、紙がかなり高額な物で作られたいたから、痛みはまったくなく、鮮明に文字が解読できる。
しかも綺麗な絵が描かれていて、目でも楽しめる本になっている。よく作られていると思う。
ページをめくる手に感じる紙の厚みでよい紙を使用しているのがわかる。
幸せそうなディアとジークフリードの抱き合う様子がほほえましさある。
しかしページをめくる度にそれは苦悩に満ち顔をいがめずにいられなかった。
ジークフリートはディアの寵愛を独り占めしたと思った人間に殺されディアは悲しみに沈む。
確かに絵にもディアの右から涙を流し、左目に赤黒い涙を流した絵に感受性の強いエレーヌは泣いてしまった。
私はエレーヌを抱きしめながら本のをすすめる。
確かに絵には地に流れた涙が芽に変わっている様子が描かれている。
右の芽は綺麗な青緑色で左の芽は赤黒い。
やはり私達の元にあるのは「女神の怒りの果実」なんだ。
そう思った次にめくったページには思いもしない絵が描かれていた。
女神ディアが赤黒い大木の女神の怒りの果実に口づけを与えているのだ。
「女神?祝福?」
子供向けだったので私にも読める。
「女神ディアは人間が行なった恋人の殺害に我を失ったが、恋人をエルディア大陸に埋葬した後、太陽神と大地神に慰められ心が落ち着き、自身が怒りのあまり産んでしまった女神の怒りの果実の木に口づけた。
その実は女神の祝福を受け地上のある果実の中で唯一の女神ディアの祝福の果実として愛されるであろうと」
「え!!!???」
その絵を穴があくほどじっと眺めると他の場所も気になり始める。
そのディアの足元に赤黒いディアスが生えているのだ。
つまり親木は祝福を受けたが、すべての女神の怒りの果実がそうではないという事かな?
「真のディアス。真のディアス!
そうだ真のディアス!」
「ねぇ~~これは仮説だけど。あくまで仮説だけどすごく気になるの。
倉庫にあるディアスについて。
分析してもらいましょう」
「きゃ~~~やったぁ!
フレディー!マルグリット、エレーヌありがとう~~~」
大きな声をださず全員でハグしながら歓喜に沸く。
私達って最高~~~。
すぐにマルグリットは植物学者にディアスの分析の依頼を手紙にしたため早急に送る。
届けた者にそのまま返信の手紙を渡したのではないかと思うくらい早くに植物学者から手紙が届く。
植物学者はディアスの第一人者の研究者だったので断る理由がなかった。
いやそれどころか筆跡からは自分が知らないディアスが存在するかもしれないという探求心が増しては心の中はざわめいているように文字は踊っていた。
「これは世紀の大発見になるでしょう。
ただ本格的な研究になると私の研究施設ではまかないきれません。
本来は商団の方の利用や協力は出来ないですが、帝国皇室附属の薬草研究所で分析してもらいます。
帝国内ではおそらくあそこくらいしか調査は出来ないでしょうよ。
なに私はその後見人の皇太子妃殿下に請われてフェレイデン帝国から参りました。
皇太子妃殿下とは友人です。了承はもらえるでしょうからご安心を」
ん?皇太子妃殿下ってお兄様の長女じゃない。
ひゃ!
叔母ってばれたらお母様にチクられる。
本当にヤバいのでは??
しかし好奇心と負けず嫌いには勝てない。
例の倉庫から大量のディアスを教授の研究室に持ち込んだ。
一気に突破出来最高だ。
でも!!
その後の受け取った手紙には予想外の事がかかれていた。
「えぇぇ~~~~~~三日後に帝国皇室附属薬草研究所を訪問するように。
フロレンティーヌ皇太子妃殿下が直接面接してから請け負うか決定する??
勘弁してほしい」
ついに女神の怒りの果実の謎を解いたクリスティア達がフロレンティーヌ皇太子妃殿下に呼び出され、女神の怒りの果実の調査依頼に研究所を訪問する事になりました。
正体がばれずにいれるのでしょうか?
次回ドタバタ展開予定です。
残忍皇帝は十番目の皇后に敵国の皇女を娶る。
初夜に絶対愛さない宣言をする大公女
のキャラ全開で登場します。そちらもご愛読くださいませ。




