【1-5.調書】
それから数日後。
ポルスキーさんはクロウリーさんと魔法協会の狭い一室にいた。
ポルスキーさんは、母親を殺めたアドリアナ・フェルドンの件に巻き込まれた件について、形ばかりの調書を取られているところだった。
ポルスキーさんは面倒くさそうな顔をしている。
「経緯は知ってるんだから、わざわざ聞き取りの場を設けなくても、あなたが適当に書いといてくれればいいのに」
「せっかく会えるチャンスだからな」
クロウリーさんの物言いはストレートだ。
「イブリン。よりを戻そう」
「嫌よ。あと、イブリンって呼ばないで」
ポルスキーさんは少し赤くなったが、つんとした。
クロウリーさんはわずかに顔を顰めたが、ポルスキーさんの「嫌」には慣れたもので、まあまた折を見てと気を取り直し、傷ついた様子は見せなかった。
クロウリーさんが何も返答しなかったので、ポルスキーさんは少し居心地悪く感じてもじもじした。
「……ってゆか、同級生があんなことになってるなんて知らなかったし。そういう気分じゃないわよ」
と言い訳をする。
クロウリーさんは「ああ」といった顔をした。
「アドリアナは情状酌量の余地があるんじゃないかと担当者に話しておいたよ」
「ありがとう」
ポルスキーさんが素直に頭を下げるので、クロウリーさんは片目を上げた。
「珍しく素直じゃないか。じゃあお礼に食事くらい付き合ってもらおう」
「食事? ふ、二人で?」
ポルスキーさんが上擦った声を上げたが、クロウリーさんは動じない。
「何か問題でも? 付き合ってた頃は一緒に行ったじゃないか」
そうだったかしらとポルスキーさんは首を傾げて、それからすぐにキッとクロウリーさんを睨みつけた。
「いーや、たいして行ってないわね! 記念日とかだっていつも仕事ばっかりだったはずよ、あなた少し働きすぎを反省すべきだわ」
「そんなに言われるほどでもない。いつぞやの記念日だって、イブリンが手料理を作ってくれるはずが間違って煮詰めた魔法薬草を投入したとかで、外食に切り替えたはずだ」
「よ、余計なことは言わなくていいのよ」
ポルスキーさんは真っ赤になった。
真っ赤になったポルスキーさんを柔らかい目で見て、クロウリーさんは言った。
「忙しくしていたのは悪かった」
「い、いまさら言っても仕方ないんですからね!」
ポルスキーさんは意固地になってぷいっとそっぽを向きつつ、
「とにかくもう調書は書けたでしょ? 足りない分はあなたが適当に埋めといてよ。私は帰りますから!」
と、すっくと席を立った。
クロウリーさんは残念そうにふうっと小さく息を吐いた。
それから、こうなったポルスキーさんはなかなか素直になれないこともよく分かっていたので、
「家まで送ろう」
と仕方なく自分も立ち上がった。
「いらないわよ。一人で帰れます」
「いや。またテレポート失敗してどこか迷ってもらっても困るし」
「ちょっとしか失敗しないし!」
ポルスキーさんはまた顔を赤くして、べしっとクロウリーさんの肩を叩いたのだった。
ここまでお読みくださいましてどうもありがとうございます!!!
ここまでの部分は、本作者の短編作品『創造系ポンコツ魔女は恋の救済屋さん。なお自分は』と重複しております(一部改変)。
さて、次のエピソードから新規投稿内容となります(*´▽`*)
ポルスキーさんとクロウリーさんの恋愛多めの軽い作品になっています。
当て馬キャラとかも出てきて書いてて楽し~笑
どうぞお付き合いいただけますとありがたいです!!
【砂臥 環様】から本作へ素晴らしいイラストを賜っております!
ポルスキーさんとクロウリーさんです♡
<イラスト:砂臥 環様>
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