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AcCell  作者: びぐろ勇
1章 THE first CREATURE
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第1話 フリーの剣士①

---1986年1月30日AM11:45--


 デズィ。普通の男を少しチャラつかせたような黒髪と性格をして、その素性を知る者はだれ一人いないといわれている男。


そして、今回の事件の解決に一石を投じることになる男。


「今回の犯人の目星はついているのか?」


デズィは首元まで伸びるブラウンの髪をたなびかせながら忙しそうに事件の聞き込みをしている婦人警官のサリア・メーデアルに尋ねる。


「知らないわ。私はあまり高い立場にはいないの。それくらいはあなただって知っているでしょ?」


サリアはめんどくさそうに続ける。


「それにあなたまた関係ないことに足踏み入れるつもりなの?まあ関わるのは勝手よ。でも今回はそんなに甘く見れないの、被害者の殺され方が異常としか言えなくて。」


「めった刺したところに火を放った、とか?」


サリアが顔を引きつらせながら口を開く。


「それならまだいいほうだわ。まず被害者は無差別。そしてやられ方はナイフとかじゃない。なんだか力づくで体を引きちぎったような...そんな感じ。」


デズィが面白半分に口を開く。


「つまり犯人はゴリラだったってのか?」


サリアがあきれたように話す。


「笑い事じゃないのよ。人間じゃないなら目撃されているはず。でも、生身の人間にできることじゃないわ。」


「私はこのまま聞き込みを続けるからあなたは、そうね、どうしても関わりたいっていうのなら重要参考人が一人いるわ。ただ今回の事件で奥さんと娘をえぐり殺されているから正気を失ってしまっているの。名前は”エブレス・ハーブル”さん。」


「”ハーブル”?って有名な財団じゃないか。そんな人が...。」


サリアが真剣そうに続ける。


「そう。知ってるかもだけどここが住所よ。でも...いや、なんでもないわ。」


サリアは茶封筒を残し、歯切れが悪いまま後ろを向いて去ってしまった。


「エブレスさん、ね。会う価値はあるな。行ってみるか。」


デズィはサリアに渡された茶封筒を開けてハーブル邸へと向かった。



---1986年1月30日PM2:35--


サリアとはぐれてから2時間ほどが経過した。モダンな雰囲気の街には小雨が降ってきている。


デズィは中世ヨーロッパ的な雰囲気を醸し出すハーブル邸に到着し、入口の門の前に立っていた。


デズィの背後からドスのきいた男の声が聞こえてくる。


「”お客様”でしょうか?」


デズィは落ち着いた口調で返す。


「えぇ、エブレス・ハーブルという人にお会いしたいのですが。あなたは?」


「私はハーブル邸の門番をしているデゲルと申します。あのお方はいま、留守にしております。誠に申し訳ございませんが本日はおかえりください。」


正気を失った人間が外へ出かけるとは思えない。と違和感に気づいたデズィは食い気味に言い返す。


「先日起きた殺人事件についてなのですが?」


「...警察の方でしょうか。でしたら、もう話はしたはずです。おかえりください。」


しばらくの沈黙が続き、デズィが口を開く。


「わかりました。でしたら、いつ会えるかだけでも教えていただけませんか」


デズィは正直、話が進まないことに怒りを感じていた。


デゲルもまた腹立たし気に口を開く。


「まぁしばらくは無理でしょう。これ以上時間をとってはいられませんのでお帰りください。では、失礼します。」


デゲルはデズィを睨みつけながら慣れた手つきで門を閉め錠をかける。


「ちっ」



--数分後-


「...考えてたってしょうがない、”1年前の犯人”に会いに行こう。今日のところはホテルにでも泊まるか。」



---1986年1月30日PM3:10--



デズィは民営のホテルにたどり着いていた。


「一人なんだけど今夜泊まれるかな?」


「あぁもちろんさ。一晩だったな。7000円だ。」


と、確認を取りながらホテルの主人が部屋のかぎをさがす。


7000円を払ったデズィが尋ねる。


「さっそく部屋入ってもいいか?」


「ほらよ。005号室だ。」


主人は鍵をデズィに渡したと同時に裏へと去っていった。


デズィは部屋につくなりすぐにベッドに入り、翌日の朝早くに刑務所に行こうと簡単な計画を立て眠りについた。



---1986年1月31日AM3:50--


翌日早朝のこと。


「おい、どういうつもりだてめぇ!!」


昨日の気さくだった主人の突然の怒号にデズィは飛び起きる。


「何の話だ?金なら払ったはずだぜ?」


「すっとぼけるな!おまえこの前の殺人鬼らしいじゃねえか!さっさと出ていけくそ野郎!!」

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