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どんだけ
「それからわしは妻に見つからんように
何度も物置小屋に行き、タオルを取り変
えてやったんじゃ」
「どんだけ奥さんがこわいんですか」と
明美さんが不機嫌そうにつぶやきました。
「すると次の日の昼ごろ、やっとボピくん
が目をさましたんじゃ」
「よかったですね」と海斗君が言いました。
「わしはボピくんに言ったんじゃ。<家も
林もこわされてしまっては住む所に困るだ
ろう。わしが何とかして妻を説得して、こ
の家に住めるようにしてやるから安心しな
さい>とな。ボピくんは<ありがとうござ
いまちゅ、ありがとうございまちゅ>と何
度も礼を言ったんじゃ」
「しかし、奥さんを説得することはできな
かったんですね」と海斗くんが言いました。
「うむ。わしはそのことをボピくんに伝え
た。すると、ボピくんはボピー、ボピーと
泣きながら物置小屋から出て行ったんじゃ」
前田さんが奥さんに対して弱気でいるのが
悔しくて明美さんはこぶしをグッと握りま
した。
ーつづくー




