物置小屋
「わしはボピくんをこの庭の隅にある物置
小屋に寝かせた。ボピくんは頭を木にぶつ
けたんで、大きなコブができていた。そこ
で、わしは冷たい水でぬらしたタオルをそ
のコブに当てて、ボピくんの意識が戻るの
を待ったんじゃ」
「あのー、ちょっと質問なんですけど」と
明美さんが右手を軽く上げて言いました。
「ハハハ。かなりの高齢だったわしがなぜ
ボピくんを運べたかと聞きたいんじゃろう。
ボピくんは身長120センチくらいだから
人間であれば少なくても体重20キロはあ
るじゃろう。ところが、ヒト型妖精のボピ
くんは比重が小さくて体重12キロくらい
しかないんじゃ。それにわしも毎日散歩を
していたから87歳のわりには元気だった
んじゃよ」
「いいえ、そういうことではなくて」と明
美さんが語気を荒げていいました。
「大事なボピくんがケガをして気絶したん
でしょ。なぜ、家の中で看病しないんです
か。なぜ、物置小屋なんですか?奥さんが
妖精を嫌っているからって、あんまりよ」
「うーむ。色々あって、わしは妻に逆らう
ことはできんのじゃ」
「色々って何なんですか!」と明美さんの
声が怒りに震えているのを感じて、海斗く
んが明美さんをなだめました。
「明美ちゃん。前田さんには前田さんの事
情があるんだよ。すみません、前田さん。
話しを続けてください」
ーつづくー




