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家作り
「うむ、わしもそうしたかったんじゃが
妻が反対してのお。どうしてもできんかっ
たんじゃ」
「はあ」と明美さんは返事をしましたが、
納得できない様子でした。
「それからわしは毎日、生活に必要な物を
ボピくんの所に持って行ったんじゃ。言葉
もわしが教えたんじゃよ。その時、わしが
赤ちゃん言葉を話したせいでボピくんは今
もそのクセが抜けないんじゃ。やがて、ボ
ピくんは自分の家を作りたいと言い出した
んで、わしはそれを手伝ってやったんだ」
「前田さんは本当にボピくんを大事にして
いたんですね」と海斗くんが言いました。
「うむ。家に引き取ってやれんかったから
その代わりにできる限りのことをしてやろ
うとわしは思ったんじゃ。ボピくんが寂し
くないようにラジオやマンガも持って行っ
てやったよ。そんなふうにして20年が過
ぎたんじゃ」
ーつづくー




