S型妖精
「わしは昔、名古屋の寺で住職をしていた
のだが、年をとったんで寺を息子にまかせ
て、妻と一緒にこの島に引っ越してきたん
だ。あれは今から23年前のことになるの
かなあ。わしはこの家の近くの松林で散歩
をしておった。すると、どこかからボピー
ボピーという声がした。何だろうと思って
声のする方に行ってみたら、砂の上で裸の
少年が座って泣いていたんじゃ。少年の肌
の色や質感などを見て(もしや、これは以
前ニュースで聞いたヒト型妖精ではないか)
と考えたんじゃ」
「あのー、ボピ君は最初から少年の姿だっ
たんですか。赤ちゃんのときはなかったん
ですか?」
明美さんが首をかしげながら尋ねました。
「うむ。ボピくんはS型妖精といって空間
から突然、ある程度成長した姿で生まれる
んじゃ。わしはそれを後で本を読んで知っ
たんじゃ」
「ぼくも妖精の本を読みました。S型妖精
の他にはP型妖精というのがあって、それ
は両親から赤ちゃんの姿で生まれるんです
よね」と海斗くんが前田さんの話に補足説
明をしました。
「うん、君はよく勉強しているね。それか
らわしはボピくんに食べ物や着る物を与え
たり、家から毛布を持ってきてあげたりし
たんだよ」
「あのー、家に引き取るということは考え
なかったんですか?ずっと松林じゃあ~」
明美さんがちょっと不満げに尋ねました。
ーつづくー




