4/242
テルテル坊主
それから一年たってもボピくんは砂浜に
すわり泣き続けました。島の人達が食べ物
を与えても食べませんし、着替えもしない
のでいつしか体はやせ細り服はボロボロに
なり、まるで捨てられたテルテル坊主のよ
うになってしまいました。
ある八月のよく晴れた日。浜杉市から
一人の若者がサーフィンをしに比間島に来
ました。それが海斗くんだったのです。彼
は砂浜でボーッとしているボピくんを見つ
けて話しかけました。
「ねえ、君。パパやママは?おうちはどこ
にあるの?」
ボピくんは目にいっぱい涙をためて答えま
した。
「ぼくにはパパもママもいまちぇーん。お
うちはパワーチョベルでこわされちゃった
でちゅ。」
「ええっ!それは気の毒に。とにかく僕の
泊まっているホテルの部屋においで。何か
一緒に食べよう」
「その、そのホテルのせいでぼくはこんな
にボロボロになっちゃったんでちゅ」
ー下に挿絵がありますー