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スマホ
ベッドの中で海斗くんは明美さんに言い
ました。
「明美ちゃん、俺と結婚してくれ」
「はい」と彼女は小さな声で答えました。
すると、プルルーンとどこかで音がしまし
た。玄関に置いていた明美さんのカバンの
中のスマホが鳴ったのです。明美さんは急
いでベッドから出て玄関に行きスマホを手
に取りました。
五分ほどして明美さんが戻ってくると、
海斗くんがベッドに上半身を起こして尋ね
ました。
「誰から?社長?」
「ううん。甘畑さんからよ」
「彼女、退職したんじゃないのか?」
「実は彼女、まだ正式に退職の手続きして
ないのよ。だから、今日社長に会って退職
願を出すつもりなんだけど、一人じゃ気ま
ずいから私に付き添ってほしいんだって」
「そうか、じゃあ行ってあげなよ」
「ごめんね。もう少し一緒にいたいけど」
「そうだ。今日の午後六時にまたここに来
ないか。一緒に晩メシ食べようぜ」
「うん、わかった。六時ね」
そう言うと明美さんは素早く服を着て部屋
から出て行きました。ーつづくー




