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退職金
その日の午後、ボピくんは鬼沼会長に会
うためにお寺の近くにあるビジネスホテル
に向かいました。そして、会長の部屋に入
り、退職願いを渡しました。会長は驚いた
顔で言いました。
「やめたい?復帰してきたオレンジ山と何
かあったのかい?」
「いいえ、なにもありまちぇん。いっちん
じょうのちゅごう、ということでお許ちく
だちゃい」
「うーん、一身上の都合か」
会長はしばらくはボピくんをひきとめまし
たが、ボピくんの強い意志を感じ、今月分
の給料といくらかの退職金を渡してくれま
した。
「ありがとうございました」
ボピくんは深々と頭を下げて会長と別れ、
ビジネスホテルを出ました。その頬を十二
月の冷たい風がなでて行きました。
それからボピくんはお寺にもどり自分の
荷物をカバンに詰め込みました。その後、
調理場に入り、テーブルの上に手紙を置き
ました。それにはこう書かれていました。
~おせわになりました。ボピくんより~
ーつづくー




