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居場所
「さあ、そろそろ仕事を始めようか」
オレンジ山が白いコック服の上着を腕まく
りしました。それを見てミカちゃんが言い
ました。
「そのコック服、昔みんなで作った奴ね」
「そうだよ。なんだい?今じゃあ、みんな
これ着てないのか?」
「うん。係長のモックンが太って着れなく
なったのよ。それで、服は何でもいいって
ことになっちゃったんだ」
「ハハハ、だらしねえなー」
「ふふふ、本当ね」
オレンジ山とミカちゃんはまるで夫婦の
ように仲よく仕事をしていました。その間
にはさまってボピくんは居場所がないよう
に感じていました。
朝の仕事が終わると九時から十五時まで
料理係は昼休みになります。ほんの少し前
まで、この昼休みを使ってボピくんはミカ
ちゃんとホテルに行っていました。
しかし、今はそうすることもできず、ひ
とりでお寺の庭にすわって時間をつぶして
いました。すると午前十時ごろ、ミカちゃ
んとオレンジ山が手をつないでお寺の門を
出ていくのが見えました。ボピくんは急に
寂しくなってボピーボピーと声をあげて泣
きました。
そんなふうに一時間くらい泣き続けた後
ボピくんは決心しました。
「もう、ここにボクの居場所はありまちぇ
ん。すぐに、ここを出ていきまちょう」
ーつづくー




